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妊娠・出産

イタリア出産体験記6 | 産後の入院生活。マンマ達はこうして鍛えられる!?【海外出産】

妊娠・出産

日々育児に追われている内に前回の記事から大分時間が経ってしまったけど、またぼちぼちイタリアでの出産や育児について綴っていきたいと思う。

出産という大仕事を終えて始まった産後の入院生活。

今回はスパルタだったが良い思い出として残るイタリアの国立病院での入院生活について印象的だったことを振り返ってみようと思う。

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産後直後から24時間母子同室

ベビーラックの中の新生児

「Luiさん、お疲れ様でした。赤ちゃんはお預かりしますね。入院中はご自分の体の回復に専念してください!」

「今夜はフレンチですよ♪」

日本のホテルのような産院では、大仕事を終えたママはこんな風に労ってもらえるのだろうか…

もちろん、イタリアの国立病院ではこんな風にはならないw

待ったナシで始まる新生児のお世話

赤ちゃんのオムツ

 

午前4時半に無事に息子が生まれ、カンガルーケアを終えて私は車椅子で病室に運ばれた。

午前6時。院内はまだ静まり返っていた。

朝日が差し込み始めた薄明るい病室は2人の相部屋。

入り口側のベッドには前日に出産を終えたママさんが横たわっていた。

車椅子からベッドに移り、一呼吸。

「産後の体は交通事故に逢ったのと同じくらいのダメージを受けている」

とは聞いていたものの、分娩前に数時間寝られたのと、まだ硬膜外麻酔が効いていたおかげで、倒れそうなほどフラフラというほどではなかった。

無痛分娩様様である。

(とはいえ血痕と汗まみれのパジャマを着替えるほどの気力は残っていなかった…)

むしろ夫の方が疲労困憊していた。かれこれ24時間私に付きっきりで横になることもできず、一睡もできていなかった。

そうして小一時間ほど2人でウトウトしていたら、院内が騒がしくなってき、朝8時前に検査を終えた息子が部屋に運ばれて来た。

小さな息子は、夫から助産師さんに手渡してもらった服に身を包んでいた。

Camicino fortuna(幸せのチョッキ)を着た姿を見るのを楽しみにしていたのだが、服の下に着せられているようで、この時は見られなかった。

48時間寝ずの出産から僅か3時間半。

一休みする間も無く、息子のお世話が始まった!

お世話についての説明は1分ほどでざっくりと!

助産師さんは、息子を運んでくると同時に

「体温が35℃と少し低めなので、ママの体温で温めてあげてね。」

と言い、私の胸元に息子を持ってきた。

小さくて壊れてしまいそうな新生児の息子。触るのも怖かった。

しかし、私の胸元に来るとひんやりとした手で一生懸命私にくっついてきたのを見て、

…なんて愛おしいの…!!

感動して泣きそうになりながら、私も息子を温めるように両手で包み込んだ。

それから助産師さんは、母乳をあげる際の抱き方を教えてくれた。

泣いたら母乳をあげること。初めてのうんちが出たら知らせること。

これだけ告げると助産師さんは出て行ってしまった。

え〜っ!他に注意事項は!?

日本の産院だったら

    • 母乳は3時間おきなので時間になったら呼びに来ますね。
    • 母乳が出ない場合はミルクを足すので言ってください。
    • 夜間授乳は看護師の方で対応するのでお母さんはゆっくり休んで良いですよ。
    • 明日は沐浴のレッスンがあります…etc..

というような感じできっと手取り足取り教えてくれることだろう。

母乳ってどれくらい飲ませればOKなん!??

オムツ替えってどうやるの!?

沐浴レッスンってあるの…?

何も分からないまま、か弱い新生児を抱いてオロオロするしかない私と夫であった…

切れゆく麻酔。燃えるような会陰の痛みと30分毎の授乳で大忙し

そうしている間に硬膜外麻酔が切れてきたのか、裂けた会陰が猛烈に痛み始める。

BBQの網の上に乗せられてジュウジュウに焼かれているような痛みだ。

息子の重みも加わり、ベッドに会陰が押し付けられて余計に痛い!

そんな中でも息子が泣いたら抱き上げて授乳をしなければならない。

まだ胃が小さい息子はほぼ30分毎にお腹が空いたと泣き、その度に会陰の痛みを堪えて息子を抱き上げ、授乳した。

いつ泣き出すか分からないので、トイレに行く際は授乳した後に速攻で向かう…と、一瞬も気を抜くことができなかった。

結局一日目は汗と血みどろのパジャマを着たまま息子の授乳に四苦八苦。ゆっくり体を休めるどころではなく、シャワーを浴びられたのは夜22時過ぎだった。

面会時間が過ぎていたが、夫がいる間に浴びてしまわねばと15分ほどで済ませたが、それでも私が出てきた時には息子は泣いており、夫がオロオロしながらあやしてくれていた。

しかし…泣いていても可愛いと感じる親バカ2名w

夜は添い寝が主流?

赤ちゃんと添い寝

事前のオリエンテーションでは

コロナにより、付添人は一度病院を出たら二度と産科の病棟に入れないので、退院まで院内に留まるか、退院まで面会できないか、とちらかとなる

と言われたものの、私の出産時にはコロナが大分収まってきたこともあり、夫も出入り自由となった。

ベッドも無い部屋で3日間も肘掛け椅子で寝させるのは酷なので、出入り自由になってくれて本当に良かったと思う。

破水からほぼ36時間付き添ってくれた夫は23時前に家に帰って行った。

そして院内は明かりが消えて暗くなる。

私の胸の上で安心したようにスヤスヤ眠る息子をひっぺがしてベビーラックの上に置くのが可哀想に思えてならず、かといってこのまま胸の上で寝かせて万が一落としでもしたらどうしようと迷っていると…

助産師さんが部屋にやって来て、

「こうしたらいいわよ!」

と、ベッドの片側の冊をガシャンっとあげ、隙間から小さな息子が落ちないように枕を垂直に敷き詰めてくれた。

日本の育児書には新生児と添い寝は危険と書かれていたが…

同室のママさんも添い寝をしていたし、他の部屋のママさん達も基本的に添い寝しているようだった。

新生児を守るようにして添い寝するママさん達の姿は神々しく見えた。

私も他のママさん達に倣い、小さな息子を囲むようにして寝そべり、初めての夜を一緒に過ごした。

情報は歩いてこない。だから自分で取りに行く。

看護師と患者の女性

イタリアの病院で分かったことは、日本の産院のように待っていれば何でも手取り足取り教えてもらえる訳ではないということだ。

    • オムツ替えの仕方
    • 産湯の仕方
    • 授乳の仕方
    • おへその消毒の仕方

などなど、分からなければ自分から助産師さんに質問する。

助産師さん達はフレンドリーで、お願いすれば快く教えてくれる。

日本の産院だと「こんな大事なこと教えてくれなかった!」と裁判沙汰になりそうなものである。

しかし「情報はぼーっと待っていても与えてもらえないない」というのがデフォルトのイタリア。

新米ママ達は自立して淡々と新生児のお世話をしていたので、私も弱音を吐いていられない、と勇気をもらえたように思う。

産後3日で退院。母体は放っときゃ治る

Goodbyeのデコレーション

イタリアの病院では、赤ちゃんに問題が無ければ基本的に3日で退院となる。

母親側がいかに会陰が痛み、悪露で大量出血をしていて貧血気味で寝不足でフラフラでも…である。

我が家の場合は息子が検査に引っかかったために入院が1日伸びたが、私と同日に出産したママさんは、産後2日とは思えないほど元気に歩いて退院して行った。

実は私も会陰の痛みは悶絶する痛さだったものの、出産翌日には院内をスタスタ歩き回っていたので、3日でも退院できていたと思う。

これは、日本人だからとかイタリア人だからとかではなく、無痛分娩で体力が温存できていたからではないかと思えてならない。

赤ちゃんは宝石のように丁重な扱い

花の洋服で眠る赤ちゃん

母親のズタボロ度合いは全くもって考慮されない一方、赤ちゃんについては別格の扱いとなる。

入院前、息子にはどのような検査が実施されるかなどという説明は無かったが、入院中は日に2,3度、小児科医や助産師が部屋を訪れ、時には息子を連れて行き、色々な検査を行った。

視力や聴力・股関節などの検査の他、指定難病など検査項目は100項目以上に登るようだ。

少しでも懸念点が見つかれば何人もの小児科医が集まり、入念に経過観察をしてくれる。

入院中に実施された検査結果のレポートは退院時に渡してもらえる。

また、助産師さん達も定期的に部屋を訪れて赤ちゃんの様子に問題が無いか確認し、検査で連れて行った際には必ずオムツ替えもしてくれた。

夜中、私が息子の胎便が出ているのに気づかなかった所、助産師さんが回診で気づいてくれ、明け方4時にオムツ替えの仕方を教えてくれた。

ボロ雑巾のようになった母親は基本的に放置プレイの一方で、赤ちゃんについてはまるで宝石のように大事に大事に扱われる。

来るもの拒まず・去る者追わず。不思議で温かい空間

ママと赤ちゃん

日本の産院…特に無痛分娩を行っているような人気の産院は妊娠6週あたりから予約しなければならない一方、イタリアの国立病院は妊娠32週頃に病院に連絡すれば良いことになっている。

ただ、無痛分娩を希望する場合は麻酔のアレルギーチェックが必要となるので、事前に麻酔科医との面談が必要になる。

入院時は受付も無く産科へ直行

今回は私が出産した国立病院は、出産時に日本のように煩わしい入院手続きというものが無かった。

陣痛を感じたら受付の手続きなども無く産科へ直行し、そのまま入院となる。

看護師さんや助産師さん達は、私が新規の患者かそうで無いかも気にしていないというように、部屋にいればごく自然に巡回してくれる。

「誰であろうとそこにいる患者の面倒を見る」という感じだった。

一晩に何人もの赤ちゃんが誕生しているし3日で退院していってしまうから、いちいち患者個人を識別していられないのかもしれない。

しかし入院中は皆とても温かくフレンドリーに接してくれ、とても心地よい空間だった。

退院時はただ部屋を出るだけ

小児科医からOKが出れば、それが退院のサイン。

特に何時までに退室しろとの指示も無く、看護師さんや助産師さん達から「今日は退院ですね!」などと言われたりも無い。

小児科医から検査結果のレポートを手渡してもらったら、準備ができたタイミングで病室を出る。

昼過ぎまで病室にいれば昼食も出してくれる。

お世話になった助産師さんに一言お礼を言って去りたかったが、退院日だからと言って彼女達が会いに来てくれるわけでもなく、結局何の挨拶もできずに部屋を後にした。

出産・入院費用は全額保険適用なので、支払い手続きも無い。

本当にそのまま部屋を出るだけだ。

人情味溢れるイタリアにしては、退院は驚くほど淡白だった。

イタリアの国立病院で出産を経験した感想

とまあ、とにかく新米ママは強さと自立が求められるイタリアの国立病院であったが、総じて何も不満なことは無かった。

母親はほぼ放置なれど、生まれたばかりの我が子に比べれば自分の体など二の次なので、赤ちゃんへの手厚いケアについては大変信頼が置ける。

逆に病院側が放任主義だからこそ、パパ達も積極的に新生児のお世話をするようになるのかもしれない。

どの部屋でもパパ達が赤ちゃんを抱いたりオムツ替えをする姿が見受けられて微笑ましかった。

来るもの拒まず・去る者追わずの、不思議で温かい空間。

今も時々入院時のことを懐かしく思い出す。

 

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