日本の賃貸物件では家主と借主との間に管理会社が入るので、家主と直接コンタクトを取ることは少ないのではないだろうか。
私も日本では賃貸物件を渡り歩いていたが、どれも退去するまで大家さんと直接コンタクトを取ることなく終わった。
大家さんの顔どころか名前も知らないままだった。
しかしイタリアでは管理会社が仲介してくれることは稀で、家賃の支払いなどのやり取りは家主と直接しなければならない。
現在の私達が住む家も上階にオーナーが済んでおり、初めの内はメリットもありデメリットもありだったが、最近ではもはやデメリットしかない状態だ。
賃貸の管理会社を使うことが稀なイタリア
イタリアでは日本のように家を賃貸する際に家主と借主の間に管理会社が入ってくれない。
不動産仲介業者が賃貸契約の締結まで面倒を見てくれるものの、その後の家賃の支払いなどは個人間で直接やり取りしなければならない。
理由は単純で、管理会社に余計な費用を払ってまで家を貸したい人は少ないからだ。(但し、ミラノやローマなどの大都市圏は事情が異なるかもしれない)
また、 イタリアでは家を借りるのは学生が多く、若いカップルは結婚が決まると家を購入するケースが多い。
賃貸が煩わしくて家を買うしかないのか、賃貸より住宅購入の方がメジャーなために賃貸市場が成長しないのか、どちらが先かは分からない。
家主と直接やり取りをするというのは想像以上にストレスが溜まる。
賃貸用の家の設備はお粗末
元々家主が住んでいた家を貸しに出すケースは別だが、賃貸用に購入した家に金をかける家主は少ない。
我々の家も例に漏れず、1960年〜70年に建った当初の設備がほぼそのままで、オーナー自慢の大理石の床はあちこちひび割れ、ドアは割れ、コンセントは壁ごとすっぽ抜ける。
賃貸はこんなものだと諦めるしかないのかもしれないが、決して安くない家賃を払っている身としては悔しいものがある。
玄関扉が建築当初のままなのはマンション内でこの家だけ
入居当初から気になっていたが、私達の住戸のドアは簡単に蹴破れそうなほど安っぽい。
おまけに鍵は壊れかけていて開閉にかなりの力が要る。
引越し当初はこんなものかと思っていたが、マンション内の他の住戸を見回してみれば、皆重厚な新しい扉に取り替えられている。
建築当初からの安っちい玄関扉のままなのは私達の部屋だけのようだ。
このことに気づいた時、何とも惨めな気分になった。
ペラペラの窓ガラスに壊れかけの鎧戸
当然窓やベランダの交換などされているわけもなく、窓やベランダのガラスは紙かと思うほどペラッペラだ。
ちょっと乱暴に閉めればブルブルとガラスが震え、すぐに割れてしまいそうなほど頼りない。
戦時中よろしく「米」の字状にテープを貼りつけたくなる。
さらに1960年代の建築当初のままの木枠の扉からは隙間風がビュウビュウ吹き込み、風の強い日は晴れていても鎧戸を締め切らなければならない。
おかげで風の強い日の家の中は灯火管制のように真っ暗。
さらにその頼みの綱の鎧戸も壊れかけている部屋が多く、完全に閉まらない。
ちなみに上階のオーナーの家は完全二重ガラス化され、鎧戸も電動式の物に取り替えられている。
毎晩オーナーが電動式の鎧戸を閉める音を聞きながら、この雲泥の差にもやもやしている。
トラブルだらけの第2バスルーム
私達の家には、トイレ程度のスペースに無理矢理シャワーコーナーと洗面台とトイレが詰め込まれた第2バスルームがある。
シャワーコーナーは狭過ぎて頭を洗うたびに肘が囲いにガンガン当たって洗いにくいことこの上無いし、トイレは座ると右肩が壁に触れる窮屈さ。
最近ではこのバスルームは狭過ぎ&汚過ぎて私は掃除にすら立ち入らなくなり、夫専用のバスルームと化している。
このバスルームが、使えないどころか様々なトラブルを引き起こす鬼門となっている。
まずは換気扇。
雨の日にはこの換気扇から雨水が垂れ落ちて来るのだ。
大雨の日になるとダラダラと滴り落ちてくるので、第2バスルームは汚水の水溜りができる。
さらに、どういう工事の仕方をしたのか上階で水漏れが発生した際にこのバスルームの天井に溜まってしまうような構造になっている。
以前、上階のオーナーの家でトイレの配管か何かのトラブルが起きて水浸しになった。
その水がこの第2バスルームから雨のように降り注いできたのだ。
その時の話はこちら↓

こんな雑な造りのシャワールームなら無い方がマシだった。
家に故障が生じる度に家主がやってくる
これだけ設備が古ければ不具合や故障も頻発する。
日本であれば、家に何か不具合が生じたら管理会社に電話をすればすぐに業者が駆けつけてくれる。
家の不備だった場合は管理会社はオーナー側に請求してくれるので家主とトラブルになる心配も無い。
しかしイタリアの場合は修理が必要な時は家主、オーナーを通さなければならない。
そして連絡するとオーナーは必ず状況を確認しに訪ねて来る。
ただでさえ他人に家へ上がられるのを嫌う私にとってこれは物凄いストレスだ。
おまけにオーナーは土足で上がろうとしてくるので、毎度のように靴を脱ぐようにお願いしなければならない。
不具合が生じるだけでもストレスなのに、オーナーに土足で上がり込まれるという二重苦を強いられる。
いちいち見に来ないで黙って修理屋を呼んで欲しいが、修理代を出したくないオーナーは現状視察をしなければ気が済まないのだろう。
修理対応してくれないことが多い
家に上がり込まれるという苦痛に耐えても、結局何もしてくれないことの方が多かったりする。
熱湯か水しか出さなくなった給湯器はスルー
湯温の調節がほとんどできなくなり、熱湯か冷水という極端な温度しか出さなくなった我が家の給湯器。
生まれたばかりの新生児の息子を風呂に入れるのに不便過ぎたので一度文句を言ったことがある。
その時はコロナ禍というのにマスクもせずに家に上がって来た挙句、「こんなの普通よ」と言って帰って行った。
結局何も解決されず、現在のバスタイムは熱湯or冷水の苦行状態だ。
第2シャワールームの換気扇からの雨漏りもスルー
前述した通り、雨の度に雨水を垂れ流す第2バスルームの換気扇。
とある嵐の日には大量の雨水が垂れ落ちてきたことでついに堪忍袋の尾が切れた夫は、この様子を動画に撮ってオーナーへ送りつけた。
しかしこれも何かと理由をつけてスルーされてしまった。
そのうち不具合が生じても連絡しなくなる
あまりにも頻発する不具合に加えてオーナー訪問時の靴を脱ぐ脱がないの問答。
そして結局何も解決しないことの方が多いことから、不具合が生じても(引越すまでの辛抱)と滅多なことではオーナーに連絡しなくなった。
今は台所の水道の水圧が著しく下がって来、洗い物をするのにも不便で仕方が無いが、オーナーに家に入って来られるのが嫌で我慢している。
修理代をどちらが持つかで揉める
一応、賃貸契約では家の設備に生じた不具合の修理代は家主が持つと取り決められている。
しかし結局間に第三者が入らないと、この辺も曖昧になって揉める事になる。
鎧戸の修理には対応してくれたが…
ある日、元々壊れかけていた台所の鎧戸が、勢いよく落ちて来て開かなくなってしまった。
これではベランダに出て洗濯物を干すこともできないし、台所が真っ暗だ。
仕方なくオーナーに連絡すると、さすがにこれについては修理業者を呼んでくれた。
幸い当日中に修理業者は来てくれ、無事鎧戸は直った。
「修理代は払っておいて」
業者が修理を始めたところを見届けると、業者を呼んでくれたオーナーの旦那さんは家に帰ろうとした。
そこで夫が
「修理代は支払い済みですか?」
と確認すると
「いや払っておいて」
と言って去っていった。
入居当初から壊れかけていたオンボロ鎧戸の修理代を借主の私達が払うなど馬鹿馬鹿しいにも程がある!
夫が憤慨してオーナーに電話すると「払わなくて良い」との回答が来た。
ちなみに修理に来てくれたおじさんは
「この扉の立て付けが酷過ぎて、完全には直らなかったよ。付け替えない限りまた同じことが起きるから気をつけて使ってね」
と言って去っていった。
恐らくこの辺も工事費をケチりにケチったのだろう。
修理も改修もままならないボロい家に家賃を払い続ける虚しさ
賃貸の何が一番苦痛かと言えば、家のコンディションから言えば高過ぎる家賃を払いながら、家のことを何も自由にできない点だ。
不具合や故障が頻繁に起きる給湯器などもオーナーに懇願しなければ交換してもらえない。
間に管理会社が入ってくれないということがいかに不便で非効率であるか、痛感する毎日だ。
物件自体の住みにくさに加えてこうした賃貸事情にもウンザリし、私達夫婦はかれこれ1年半以上も家を探し続けていたのだった。
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