イタリア人って温泉好きじゃなかったの? – 儚く散った夫婦水入らず温泉旅行の夢
※新型コロナウィルスについては、別途毎日レポートにまとめていますので、イタリアの様子が気になる方は以下の特設カテゴリから2/29(土)からの感染者数の推移をご確認頂けます。↓

※この日(3/8)のイタリアのコロナウィルスレポートは別記事で挙げています↓

南イタリア出身ビーチボーイは温泉がお嫌い?
さて、今日もコロナウィルスの話は一旦忘れ、小話でもしたいと思います。
私は温泉が大好きである。
東京で働いていた頃の冬の楽しみと言えば、土日の一泊二日で温泉旅館を取り、ゆっくりと美味しい和食懐石料理を堪能し、温泉に浸かり、そして極上のマッサージを受け、幸福感に浸ったまま眠りにつく…
こんなに贅沢で幸せな時間の使い方があるだろうか?
もちろん、海外旅行も好きなのだが、やはり私は日本人。
この温泉×懐石料理×マッサージの至福のひと時は誰にも譲れない…
イタリアに移住してしまった今、一番恋しいのはこの私の贅沢な至福のひと時だったりする。
日本人カップルにとってはロマンチックな「温泉デート」
昨年末に一時帰国した際、私は密かに一泊二日で箱根に行きたいと思っていた。
日本人カップルにとっての温泉…
悩ましげに立ち込める温泉からの湯煙に、彼女の浴衣姿。
髪をアップにした時に姿を現すうなじの色気…
温泉は、二人の関係を一層深める、言わばロマンチックスポットと言えるだろう。
今度の三連休どうする〜?みたいな話をしている時、彼氏から「温泉行かない?」と言われて「えっ//」などとドキッとする彼女も多いことだろう。
逆に彼女の方から誘われても、嫌がる日本人男子はそうそういないのではないだろうか。
夫が温泉を敬遠する理由と、儚く散った夫婦水入らず温泉旅行の夢
映画「テルマエ・ロマエ」にもある通り、イタリアも温泉大国である。
ナポリのヴェスヴィオ火山やシチリアのエトナ火山…イタリアも火山が多く、国内の至る所に温泉スポット(テルメ)がある。
テルメはオシャレでラグジュアリーなスパリゾートのような所もあれば、専門的な治療を受けられる湯治施設になっている所も有り、広くイタリア国民に愛されている。
なんだ、日本と同じじゃないか!
と思っていたので、私の夫も当然、このロマンチックな温泉デートの魅力を分かってくれると思っていた。
なので、昨年末の一時帰国を前に
私「ねえ、今回日本に一時帰国したらさ、一泊二日で温泉行こうよ!…夫婦水入らずで//」
と、少々恥じらいながら訪ねてみた。
すると夫から返ってきた答えは。
夫「君がどうしても行きたいなら付き合ってもいいけど、俺がそんなに温泉が好きじゃないことは知ってるよね?」
ノリ気ではない。
私が恥を忍んで夫婦水入らずのロマンチックタイムを提案したというのに!!
しかしそう簡単に引くわけにはいかない!と、私は温泉デートの魅力について力説した。
私「日本人カップルにとって、温泉デートってめちゃくちゃロマンチックなんだよ!温泉から沸き立つ湯けむりとか、二人で浴衣着て、和室で二人きりで静かな時間を過ごして、外にしんしんと降り積もる雪を一緒に眺めたりなんかして…」
すると夫。
夫「温泉がロマンチックだって!?君が温泉をリラクゼーションのために愛しているのは知っているけど、温泉の一体どこがsexyスポットなのか、理解できない。」
いや、sexyスポットではなく、ロマンチックスポットと言ったのだが…
とりあえず夫の主張は以下のようだ。
- 男の大事な部分にとって温めることは禁物(生殖能力を弱める)
- 温泉からの硫黄の臭いにむせ返ってsexyな気分になるどころではない
- そもそも温泉(湯)の中での行為は気持ちよくない
- タタミは寝心地が悪い
…ち〜ん…
いや、ロマンチックと言っただけで、温泉が直接的に性的興奮を掻き立てると言いたかった訳ではないのだが…
夫はこの後、
夫「一番興奮するスポットといえば、ダントツで夜中のビーチだろ!」
などと、sexy興奮スポットについて語り始めた…
…とりあえずこの南イタリア出身のビーチボーイにとっては温泉は1ミリも魅力的なスポットではないことは理解した。
こうして夫婦水入らず温泉旅行の夢は儚く消えていったのである。。
風呂から出る時に体を洗い流さず出てくる夫。その理由とは!?
上記の理由(男は体を温めるべきではない)から、夫は家で湯船に浸かることにもやや抵抗があるようだった。
しかしそんな彼もごくたまに湯船に浸かることも有り、私はその際にどうしても気になって仕方がないことがあった。
湯船の中で全て済ませて出てくる夫
日本で一緒に暮らしていた時、私が湯船にお湯を張って入った時、夫はごくたまに「俺も入る」と言って湯船に浸かることがあった。
が、どうも湯船から出たら、体を濯がずにそのまま出て来ているようだった。
それだけではない。
シャワー音が全く聞こえてこないので、恐らく湯船の中で髪を洗い、体を洗い…そしてゆすぎ…全てを済ませて、すすがずに出てくるようだったのだ!
何故に最後にシャワーで濯がないのだ?
面倒臭いのか?
気持ち悪くないのか?
と、ちょっと質問してみたくてウズウズしたのだが、さすがに他人の風呂の音まで聞き耳を立てていると思われるのも嫌だったので、結局聞けず終いだった。
そしてその疑問を抱えたままイタリアに来ることになったのだが…
欧米の風呂はエコじゃないと主張する私、日本の風呂文化の方が悪と主張する夫
夫が体を洗い流さずに出てくる理由。
それは意外にもイタリアで判明することになる。
私は風呂好きなので、イタリアでも寒い冬には湯船にお湯を張ってゆったりと浸かりたい。
しかし、欧米の風呂の問題点は、洗い場が無い点だ。
一度風呂に浸かったら、その湯を捨ててシャワーで体を洗わなければならないし、そうすると体を洗った後で最後にもう一度湯船に浸かる、ということができない。
また、家族で風呂を使うことになれば、一人一人が入る度にお湯を張らなければならず、非常に不経済な上、環境にも悪い。
そしてイタリアは日本よりも水道代が高い。
ある日、そのことを夫に愚痴ってみた。
すると夫から返ってきたコメントは。
「日本人の風呂の入り方が世界で一番不経済だ。湯船にお湯を溜めて、さらにそこからシャワーで体を洗って、一体一回の風呂でどれだけの水を使っているんだ」
これに対し私は、日本式の風呂場であれば、家族一人一人が入る度にいちいちお湯を貼り直す必要が無いことを主張してみた。
が、夫的には「そもそも男は体を温める方が良くないので風呂は必要無い」とのことなので、まあとにかく根っからのアンチ風呂派ということである。
しかし、これでようやく夫が風呂を使った際に何故シャワーで濯がずに出てくるのかが分かった。
水が勿体ないからだ。
まあ、日本はイタリアよりも水道代が安いとはいえ、この節約の心がけは尊重したい。
水道代・ガス代が高いイタリア、しかも温暖な気候の南イタリアで育った夫にとって、風呂に浸かるというのは全くもって魅力的な行為ではないということなのだろう。