無事に心拍が確認できたことで、プライベートの産婦人科の先生から正式な妊娠証明書を発行してもらうことができた。
問題は、健康保険証が無いので妊娠中に何か不測の事態が起きて大病院へ運ばれることになった時、このままでは高額な医療費がかかってしまうことだった。
滞在許可証はまだ申請中の身であったが、妊娠という特別な状況で健康保険証をなんとか先に発行してもらえるよう、夫も仕事をしながら一緒に奔走してくれた。
前回の話はこちら↓

イタリアで健康保険証をもらえるまでに必要な書類と申請先

https://www.provincia.pistoia.it/notizia/2020/09/attivazione-della-tessera-sanitaria-carta-nazionale-dei-servizi-da-remoto-chiama
通常、健康保険証を発行してもらうまでには以下の順で申請が必要となる。
- 滞在許可証(permesso di soggiorno:ペルメッソ・ディ・ソッジョルノ)の発行
- 個人納税者番号(codice fiscale:コーディチェ・フィスカーレ)の発行
- 住民票の登録
- 健康保険証(tessera sanitaria)の申請
①の滞在許可証は市のクエストゥーラ(Questura)という警察署で申請を行う。
②の個人納税者番号は市の税務署。
③の住民票登録は市役所。
④保険証の申請は地域保健所(ASL:Azienda Sanitaria Locale)へ。
通常、②〜④については滞在許可証が発行された後でなければ発行できないと言われている。
つまり滞在許可証が無いことには全く動きが取れないというわけだ。
妊婦優先社会のイタリア。健康保険証取得のための奮闘劇
夫曰く、イタリアは妊婦に優しい国だという。
私はまだ①の滞在許可証申請中の身だったが、妊婦だと言えば②〜④も特別に発行してもらえる可能性はゼロではないかもしれないと言い始めた。
個人納税者番号(codice fiscale:コーディチェ・フィスカーレ)の取得
私達はまず、税務署へ②の個人納税者番号(codice fiscale)を取りに行くことにした。
個人納税者番号が健康保険証と何の関係があるのかと思う人もいるかもしれないが、イタリアではこのcodice fiscale=健康保険番号となる。
従って、健康保険証にはこの個人納税者番号が記載されるのだ。
なので保険証の申請時にはこの個人納税者番号が先に発行されている必要がある。
すると対応してくれたお兄さんは
「申請から半年も経っているなら、オンライ上では承認されている可能性が高い」
と言って調べてくれた。
すると…どうやらお兄さんの言う通り私の滞在許可証はオンライン上では既に承認となっていたようだ。
結局、codice fiscaleはすんなり発行してもらうことができた。
これに味をしめ、健康保険証も結構スムーズに発行してもらえるのではないかと考え始めた私達だったが…
地域保健所(ASL)へ健康保険証の申請
夫は職場へ遅刻して私の手続きに奔走してくれていたし、私も大学院があったので、二人とも平日はあまり時間が無く、夫は仕事前の時間を使ってあちこち奔走してくれた。
順序としては次に③の住民登録を行わなければならなかったが、市役所は時間がかかりそうだからと一番必要な健康保険証の申請のために地域保健所(ASL)へ向かった。
保健所では各種検査や予防接種なども対応しており、1階はまるで病院のように混雑していた。
私は妊婦であり保険証の申請に来たと言うと、待たされずに4階へ通された。
1階の混雑に比べて4階は人がおらず静かで、廊下の壁には妊婦や赤ん坊の写真などが沢山張ってあった。
その中の一部屋に通されると、中には白衣を着た中年女性がいた。
夫が事情を説明すると、彼女は
「それはすぐに保険証が要るわね!でも住民票が無いと難しいかもしれないからちょっと待っていて頂戴。」
と言い、どこかに電話。
すると、一人また一人とマンマ気質の白衣を着たおばちゃん達が集まってき、それぞれが色々な所へ電話をかけ始め、部屋の中は大変賑やかになった。
「妊娠しているのよ!何とか保険証を発行できないの!?」
と、彼女達は私のために戦ってくれていたようだった。
しばらくの後、彼女達はため息をついて電話を切り、内の一人が言った。
「ごめんなさい。滞在許可証はともかく、やっぱり住民票だけは必要みたい。市役所へ行ってみて。妊婦と伝えれば対応してもらえるかもしれないわ。」
彼女達が親身になって奮闘してくれたのはとても嬉しかったが、この時は健康保険証の申請をすることはできなかった。
市役所での住民票登録は門前払い
となれば敬遠していた市役所に行ってみるしかない。
住民票を取得するには住所を証明する書類が必要となる。
私の場合は家を借りているオーナー(家主)のサイン入りの書類と、彼女の身分証明書のコピーが必要とのことだった。
夫に言われるがまま、私はオーナーへ書類の準備をお願いしに行った。
彼女は快く引き受けてくれ、その日中に書類と身分証明証のコピーを用意してくれた。
それを携え、夫と共に市役所へ向かった。
イタリアのお役所と言えば激混みで半日待たされることを想像していたが、意外にも私達の順番はすぐに回ってきた。
白髪の高齢の女性が対応したのだが、夫がイライラしていたのを見ると、どうも話が通じないらしい。
「妊娠している」
「オンライン上では滞在許可は既に承認されていて個人納税者番号は発行された」
などと主張してみたものの、
「滞在許可証が無いと住民登録は無理」
の一点張り。
やはりどこの国も市役所というものはカタブツオブカタブツである。
結局、健康保険証は取得できず
結局、この時は妊婦特権をもってしても滞在許可証の壁を越えることができなかった。
無事に取得できたのは妊娠35週を迎えた時だった。
病院で「妊娠証明書」を出してもらい、クエストゥーラへ行くのが正解
健康保険証取得のために奔走する様子をTwitterで嘆いた所、イタリア在住の先輩ツイッタラーの方から
「まずは病院で妊娠証明書をもらい、それを持ってクエストゥーラへ行けば滞在許可証の発行を特急対応してもらえるよ!」
とのことだった。
なんと、ASLでも市役所でもなく、クエストゥーラへ妊娠証明書を持ち込むのか…!
嬉しい情報を頂けたものの、この頃にはつわりがピークに達し、クエストゥーラに行くことができなくなってしまった。
夫の長期出張も重なり、結局クエストゥーラに行けたのは年明けとなった。
年明けの1月半ば、妊娠証明書を持ってクエストゥーラへ向かうと、即日滞在許可証を受け取ることができた。
やはり「イタリアでは妊婦は優先して対応してもらえる」という話は本当のようだ。
しかしその後、新型コロナウィルスの感染がイタリアで爆発的に拡大し、市役所での住民登録が難航したのだった。(この記事を記載した時点では未だに保険証の申請はできていない)
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