一軒家に住むか、マンションに住むか…事前に夫とメリット・デメリットを十分話し合ってマンション(Appartamento: アッパルタメント)に住むことに決めた私達。
↓参考までに、家探しの時の話はこちら

覚悟はしていたものの、やはり住んでみれば色々カルチャーショックを受けるものである。
私達の上階にはこの家の家主、オーナー夫妻とその息子(30代)が住んでいるが、日本では完全に迷惑行為に認定される行為にモヤモヤしている。
寛容な国ここイタリアで、東京出身の私の心が狭いのか、あるいはイタリアでもこれは常識外れなのか…皆さんはどう思われるだろうか?
不定期にベランダから降り注ぐ水
私のマンションのベランダには、日本の集合住宅には必ずあるはずの排水溝や地下に水を流すための排水パイプが無い。
ベランダは何の仕組みも無い、単なる板にスタスカの錆だらけの柵があるのみである。
ということは。
水などを流そうものなら、ダイレクトに真下へナイアガラの滝のように落ちていくのである。
日本のマンションなら欠陥住宅だ。
まあ、流石に住民達もこの点は気をつけているようで、ベランダから水を捨てる人はいない…ように思えた。
なので、私はあまり警戒心も無くベランダに洗濯物を干していた。
が、しかし。ある日、事件が起きたのである。
私が洗濯物を干し終わり、満足気に家の中に入ろうとした瞬間。
ビチャッビチャビチャッ…バッシャアァァァァ!!!
…背後で不吉な音が鳴り響いた。
振り返ると…上の家から大量の水が降り注いでいるではないか!
慌てて洗濯物を内側へどけるも、既に手遅れ…
↓これは物干し台を退けた後の状態。
憤慨しながら上を見上げると、上の家からベランダの外側にまで、汚らしい蔦状の植物が、だらしなく垂れ下がっている。
なるほど、この植物に水をやっているのか…
このマンションの住民は常識的な人達ばかりで良かったと思っていたら何と当のオーナーが配慮に欠ける人物だったのだ。
世話好きで良い人だと思っていたが、この一件で一気に私の中でのオーナーの好感度が下がった。
その後、注意深く観察していると、上階からのナイアガラは曜日は不定期ながらも、午前11時前後に降り注いでくることが判明した。
なのでこの日以来、仕方なく私は午後に洗濯物を干すようになった。
垂れ下がってくる汚い植物
そしてこの汚らしく垂れ下がる蜘蛛の巣だらけの蔦状の植物。
雑草かと思うほど異様に成長が早く、これがまた私を悩ませた。
その内我が家の正面まで垂れ下がって来たら嫌だなと思っていたが、その日はそう遠くないうちにやってきた。
その植物は我が家のベランダの天井からにょきっと顔を出したと思えば、みるみるうちに私の目の高さまで垂れ伸びて来、あっという間にベランダ外側の物干しロープに届くまでになった。
文句を言いたかったが、夫は面倒臭がって言いに行ってくれない。
私もイタリア語はからっきし。
仕方なくその汚い植物に触らないようにシーツなどを干していたが、ある日、シーツに転々と赤い汁が付いているではないか!
明らかにその不気味な植物から出てきたものだった。
せっかく洗ったシーツに赤い染みを付けてくれたこの植物。
一瞬燃やしてしまおうかと思った。。
毎日忌ま忌ましく睨みつけていたが、ヤツはそんな私をあざ笑うかのように、先っちょに気色悪い花を咲かせた。
結局我慢に我慢を重ねた結果、昨年12月に夫のマンマが私の家を訪れた際、「何これ!?」と言って速攻でオーナーに苦情を言ってくれたおかげで、その植物はやや短くなった。
しかし、再び伸びつつあるので、近い内にまた苦情を言いに行かなければならない…
一体この先何度、これを繰り返さなければならないのだろうか。。
オーナーのこの悪趣味な植物のおかげで、上から水が降って来るわ伸びて来る度に苦情を言いに行かなければならないわ、我が家のQOLはダダ下がりである。
上の階から降ってくる洗濯物
イタリアへ来たことがある方なら想像がつきやすいと思うが、イタリアの集合住宅では、テラスがあっても無くても、洗濯物干しのロープは外側に付いている。(新しいマンションではこの外干しロープは見られなくなったが…)
私は落としそうで怖いので、普通の洗濯物はベランダに物干し台を置いて干しているのだが、この外側のロープはシーツなどの大物を干したい時に中々重宝する。
他の家ではこのロープに小物なども干しているようだが、まあ手元が狂えば洗濯物は下に落ちることは想像に難くないだろう。
運が良ければ下の階のロープに引っかかり、地面への落下は免れることができる。
そして。
私の家には上の階からの落し物がよく落ちてくるのだ。
それも、雑巾なのかタオルなのかよく分からないモノが。
その度に私はそれを持って上の階に「落としましたよ」と言いに行かなければならない。
かなりの面倒臭がり屋の私にとって、この余分なタスクは苦痛でしかなかった。
が、しかし面白いことに昨年12月にマンマが我が家に滞在して以降、流石のオーナーも我らがマンマに恐れをなしてしまったのか、あれ以来パタリと洗濯物が落ちてくることが無くなったのだったw
上の家が大規模な水漏れ。我が家では雨のち停電
上から降ってくる物シリーズの極め付きが、オーナーの家が丸ごとプール状態になったつい先日の事件である。
とある金曜日。
フライデーナイトで外でディナーを楽しんで帰って来た夫と私。
すぐに廊下が異様な雰囲気なのに気が付いた。
廊下でピチャッピチャッと水の滴る音が不気味に鳴り響いているのである。
電気をつけてみると…天井に水の染みができ、セカンドバスルームから廊下にかけて、水が染み出しているではないか!
慌てて夫を呼び、上の階に知らせてもらいに行った。
すると、上の階からは
「知ってるけど、こんな夜更けじゃ何もできないから明日業者を呼ぶ」
と言われて戻って来た。
話を聞いてみれば、どうやらトイレの修理中にしくじり、家がプールと化してしまったようだ。
呆然としていると、ついに電気系統がやられたのか、停電になった。
真っ暗な上、給湯器も動かなくなってしまったようでお湯も出ない。
幸い床側のコンセントは無事だったため冷蔵庫などは無事だった。
その夜は仕方無く懐中電灯で過ごした。(日本から持って来た防災グッズがこんな所で役に立つとは。)
いつ寝室まで雨が降り注ぐか、ビクビクしながらその晩は寝たが、幸い寝室は雨になることはなかった。
翌朝、セカンドバスルームと廊下の雨は止んでいた。
代わりに天井には醜い染みがあちこちにできていて、壁が水を含んでしまっているのが分かった。
停電でお湯も出ずシャワーも浴びられないことに怒った夫が、再度オーナーの家へ苦情を言いに行くと、間も無く業者が来てくれた。
一体この停電はいつ直るのだろうか。
水のせいで電気系統がショートか何かしてイカれてしまっていたのだとしたら、数週間かかってしまうのではないだろうか…
そんな心配をよそに、業者のお兄さんは真っ先に雨漏りが一番酷かったセカンドバスルームへ趣き、脚立へ登って天井の照明を外した。
すると…
バッシャアーッと、照明を付けていた穴から勢いよく水が降り注いで来た。
お兄さん、頭から足の先までずぶ濡れ…
水が止まると、ブレーカーを上げに行く。すると…
電気がついた!!!
…うそやん。。。
こんな単純なことで停電が直るのか。
ますますイタリアの家の構造が謎になった。
まあ何はともあれ壁の水の染みも消え、停電も直り、1日で平常運伝に戻ったのは嬉しい限りだった。
が、この一件のおかげで、私は「マンション志向」から「戸建て志向」へと180°変わったのだった。
近所からの騒音あれこれ
夕食時に聞こえてくる痴話ゲンカ、親子ゲンカ、熟年夫婦ゲンカ…
夕食時になると、必ずと言って良いほどどこかの家から、それは壮絶な怒鳴り合いの声が聞こえてくる。
そのあまりの激しさに、恐らく日本では警察を呼ぶ人も出て来そうだが、夫によればいたって平常運転だそうだ。
この喧嘩、まあその声のボリュームから、話の内容が全て筒抜けなのである(笑)。
私のビギナーレベルのイタリア語力では全くちんぷんかんぷんだが、夫によれば、このケンカのおかげでご近所の家庭事情が丸分かりになってしまうそうだ。
例えば上のオーナーの家の30代の息子は定職にもつかずフラフラしており、親からはしばしば仕事を探しに行けと言われて激しい言い合いに。
隣の家ではティーンエイジャーの息子がゲームをしっ放しで父親が怒鳴り。
また別の家では夫婦間であられもない痴話喧嘩が繰り広げられ。
その頻度によってはシリーズ物として楽しめる(笑)
ちなみに私達夫婦はほとんど物音も立てずにひっそりと生きているので、逆にご近所から「あの家は生きているのかしら?」と心配されているようだ。
上の階は深夜に映画館化
イタリア人、特に老夫婦は、鼓膜が破裂するほど爆音でテレビを視聴する。
上の階も例に漏れず、観ている番組の内容の詳細まで聞こえるほどの大音量でテレビを見始める。
そして夕食後にはそれが映画に変わるので、深夜0時近くまで、まるで映画館の下に住んでいるかのような重低音の騒音に悩まされる。
久しぶりに今日は早く寝ようと思っても、上の階の映画の上映が終わるまで寝られない。
そこまで耳が遠いなら、老人らしく早寝早起きをして欲しいものだが、有難くないことに0時過ぎまで起きているのである。
結局、寝付けないので上の階の住人と生活ペースを合わさざるを得ず、上の階の爆音が収まったタイミングでサッとベッドに入ることにしている。
以上が私が現在体験しているイタリアの集合住宅事情である。
日本ではセキュリティ・メンテナンス等を考えて低層マンションに勝るものは無いと思っていた私だが、この経験を経てイタリアでは戸建に勝るものはないと思うようになってしまったのだった…
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