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妊娠・出産

イタリア出産体験記3 | 無痛分娩は無痛じゃない!ひたすら陣痛に耐えた16時間【海外出産・無痛分娩】

イタリアで妊娠&出産_出産体験記3無痛分娩は無痛じゃない!麻酔までの16時間 妊娠・出産

イタリアで妊娠&出産 – 出産体験記3 | 無痛分娩は無痛じゃない!麻酔までの16時間

前回の記事はこちら↓

イタリア出産体験記2 | 前駆陣痛との長い闘いの末の深夜の破水【海外出産・無痛分娩】
前回の記事はこちら↓ 妊娠41週1日目。前駆陣痛に苦しむ一日。 前駆陣痛に苦しむ一日 病院から朝5時に帰宅して再びベッドに入ったものの、10分間隔で痛みに襲われ、私はほとんど寝付けなかった。額には脂汗が滲んでいた。 生理...

無痛分娩を希望していた私。

実は、出産の一週間前に動画を観るまで、無痛分娩は陣痛も経験することなく、完全に無痛で楽チンに産めるものだと思い込んでいました。

…が、実際にはとんでもない!w

今回は妊娠41週2日目の午前2時に破水し手から18時過ぎ硬膜外麻酔を受けるまで、16時間の陣痛との闘いのお話です。

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本陣痛ステージ1 – 子宮口マイナス1cm→2cm

いざ、陣痛室へ

若い可愛らしい助産師さんに案内され、これまで入ることのなかったガラス戸の向こうの産科エリアへ入っていった。

お腹を刺激しないようにソロソロと歩いていたが、途中で陣痛に襲われ、立ち止まって横にいる夫にしがみ付いた。

腹の中で鐘楼の鐘を滅多打ちにされているようだった。

助産師さんは私の気を紛らわせるために、

「お若く見えますね!30代にはとても見えません。どのような化粧品を使っているのか本当に教えて欲しいです!」

などとたわいもない話をしてくれたが、私は受け応えすることもできず、代わりに夫が返事をしてくれた。

陣痛室は二人部屋だったが、この時はお隣さんはおらず貸切のようだった。

部屋に通されるや否や、再びNST(ノンストレステスト)をするとのことで部屋に機器が持ち込まれた。

さっきやったばかりなのに…。もうNST恐怖症である。

これまでは椅子に座った状態で計測していたが、仰向けに寝た状態のNSTはさらに辛かった。お腹を捲られて冷やされ、ベルトで締め付けられる苦痛の20分。陣痛が来ても体制を変えることもできず、脂汗が滲んだ。

その間に夫が車へ入院セットを取りに行ってくれた。

陣痛は確実に痛みを増していったが、いつまでが前駆陣痛でいつから本陣痛だったのか、結局分からなかった。

先ほどの女医に呼吸の仕方を指摘されたので、YouTubeで見たソフロロジー式の呼吸法とやらを見よう見まねでやってみる。

と言っても鼻から吸って口からスーッと音を立てながらゆっくり吐くだけだ。ヨガや瞑想の時の呼吸法と変わらないように思える。しかし陣痛アプリを起動し、呼吸に集中するというタスクがあったおかげでこの陣痛の波を乗り越えられたことは確かだ。

まだ明け方で院内もしんとしていた。連日の深夜の通院で夫も疲労困憊していたようで、隣の空いたベッドに横になろうとしたが…

助産師さんに見つかってしまい、「付き添いの方はベッドは使えません」と注意されてしまった。部屋には他に肘掛け椅子しか無かった。陣痛に耐えつつも、疲れた夫も横になりたいだろうにと気の毒に思い、ベッドに一緒に横になるように勧めたのを覚えている。

痛みのあまり嘔吐

8時頃になると陣痛室にも朝食が運ばれて来たが、もちろん食べる気にもならず、起き上がってその内容を見る余裕も無かった。

夫が私の代わりに「下げていいですよ」と言ってくれている声は聞こえた。

喉だけは乾いていたので、持参したスポーツドリンクに、夫にストローを挿して貰って陣痛の波の合間に水分補給するように心がけた。

痛みは回を追うごとに増し来、胃の中は空っぽだったが吐き気を催し始めた。

夫が気を紛らわそうと何か話しかけてきてくれたものの…返事を要するような質問形式で話しかけるので辛かった。

やめてくれ…今は返事をする余裕も無いのだ…。

私「ちょっと黙って。何も話しかけないで」

というキツイ発言になってしまった。

しかしこれだけ言い切った瞬間に強い吐き気に襲われ、バスルームへ駆け込み嘔吐した。胃の中はほとんど空っぽだったが、胃液のようなものが枯れるまで嘔吐し続けた。

夫も相当心配したようで、様子を見に来た助産師さんに私が嘔吐したと伝えたらしい。

助産師さん曰く、「大丈夫、よくあることです。シャワーを浴びるとラクになりますよ。」とのことだった。

その後夫は椅子でウトウト。

私は痛みが襲いかかってくる度に陣痛アプリを起動して時間を計測しつつ、スーッと音を立てて息を吐くことだけに意識を集中させ、時間が過ぎていった。

シャワーで陣痛を緩和

しばらくしてまた助産師さんがやって来て、

助産師「シャワーを浴びてみましょう。旦那さんも一緒に入りますか?」

この質問に夫はイエスと答える。

え。夫も一緒に入るの?

しかし私は一人でバスルームに入ってはいけないと言われたので、夫に付き添ってもらうしかない。

各部屋にバスルームがあるのは大変良いが、このシャワーを浴びる場所は囲いも何も無く床も平面なので、トイレや洗面所一面どころか、下手をしたら外側の床まで水浸しになりそうだった。

そこで助産師さんはシャワーの場所を囲うように布を敷き詰めてくれたのだ。

シャワーを浴びる度に毎回この大量の布を敷き詰めなければならないのだろうか?何と想像力を欠いた設計なのだろう…

さて、出産の恥はかき捨て…夫にシャワーをかけてもらう。

浴びながらも何度か陣痛に襲われた。

…なるほど、助産師さんの言う通り、温かいシャワーをお腹と腰にかけていると、水が痛みを吸い取ってくれるような感じで、陣痛時もかなりラクになった。夫がお腹と腰と交互にお湯をかけてくれたので、私は壁に手を付き、呼吸をすることに専念した。

夫に悪いので10分ほどで切り上げて出ようとしたところ、助産師さんから「気がすむまで浴びていいのよ」と言われ、夫にはトイレに座って見守っていてもらい、カーテンを締めて今度は自分で浴びることに。

お腹にお湯をかけながら息を吸い、腰にお湯をかけながらスーッと音を出してゆっくり息を吐く…というのを繰り返していると、心なしか少し気分が落ち着いて来た気がした。

午前11時、内診。子宮口2cm

シャワーから出ると、隣のベッドに同室となる妊婦さんが来ていた。あちらは母親と一緒だった。

挨拶をする間も無く、診察に呼ばれた。

診察室へ行くと、今朝方の感じの悪い女医を含め、三名の女性の産婦人科医がいた。

その内、初めて見る眼鏡をかけた金髪の先生に診察台に上がるように言われる。上がろうとした瞬間に陣痛に襲われ、動きを止めてその場でとっさに呼吸に精神集中する。周りも私の陣痛が治まるのをじっと見守る。

痛みが収まったタイミングで診察台によじ登る。

女医「内診して良いですか?」

この時知ったのだが、イタリア語では「内診すること=visitare」と言うらしい。夫がそのまま英語で”May I visit you(訪問して良いですか)?”と訳してくれたので分からなかったのだが、イタリア語のvisitareには「診察する」の意味もあるようで、英語のvisitよりもより多くの意味を持つらしい。(ちなみに英語で「内診する」は”esame”)

そしてまた手を突っ込まれる。痛みに仰け反りつつも、今朝のあの女医も見ているので悲鳴は飲み込み、代わりに呼吸に集中した。

今朝方はマイナス1cm(=子宮頸管1cm)だった子宮口は2cm開いたという。

頑なに閉じていた子宮口がやっと開き始めた!シャワーのおかげか…!!

私「子宮口が何センチまで開いたら麻酔を打ってもらえますか?」

女医「硬膜外麻酔は子宮口が4cmから使えます。」

4cm!

あと2cmまで我慢したらこの痛みから解放されるのか!

少し希望の光が見えてきた気がした。

昼食(イタリアの病院食)

そして昼になり、昼食が運ばれて来た。

まだ昼!時間が恐ろしく長く感じられた。

とはいえ、あと2cm開くまで我慢すればこの猛烈な痛みの拷問から解放されると思うと、失いかけていた気力がまた少し戻って来た。

イタリアの病院食(昼)↑この日の昼食。ポークソテーにマッシュポテト、リボン型の素パスタ?(食べていないので分からない)。

これまでほぼ丸一日スポーツドリンクのみで生きていたので夫に少しでも良いから食べろと促されたが、頻繁に襲われる陣痛にとてもではないが食べる気になれなかった。

マッシュポテトを一口、二口ほど口に入れたが、それで限界だった。

本陣痛ステージ2 – 子宮口2cm→6cm

本陣痛、いよいよ最終段階へ

午後になると、話に聞いていた通り陣痛は下へ降りて来た。

これまでの、子宮が目一杯に広がり下腹部が破裂しそうな猛烈な痛みに加え、下半身の全ての穴という穴に、物凄い圧力がかかるようになって来た。

言ってみれば、バルスを唱えられて崩壊していくラピュタのごとく、それまで定位置に保たれて来た胃腸や膀胱、子宮などの全ての臓器が一気に崩れ落ちて物凄い力で穴から飛び出そうとしている感じだ。

1月2日の年始のバーゲンセールに押し寄せた客で今にも破られそうなシャッターのように、穴は悲鳴を上げていた。

少しでも気をぬくと尿もれも起こしそうだった。

この猛烈な痛みは1分半ほど続き、5〜8分に一度襲ってくる。

そしてこの陣痛が起きる直前には、フリーフォールが落ちる瞬間のような気味の悪い無重力感に襲われる。

(あ、来る!)と思った瞬間に何かに捕まりたくなる。

私の支えはフェイスタオルだった。

不気味な無重力感が来た瞬間に必死でフェイスタオルをグッと握り、片足に力を入れて内臓が飛び出ないようにしつつ、とにかく口からゆっくりスーッと息を吐くことに精神統一をし続けた。

夫が何か食べるようにと、美味しそうなコルネット(クロワッサン)を院内のバーで買って来てくれたが、2、3口食べたところで胃の動きに刺激されて陣痛に襲われた。

ベッドに上がって横になろうとしても、片足を上げた段階でその刺激で陣痛が起こり、少し体を動かすにも恐怖を覚えるようになった。

二度目のシャワーで洪水事件

15時頃、助産師さんがまたシャワーを勧めて来た。

今度はシャワー室に椅子を用意してくれていた。とても気が利く…

再び夫にはトイレに座って見守ってもらい、カーテンを閉めてシャワーを浴びた。

気持ち良かったが、この最終形態になった陣痛の痛みを軽減することはもはや不可能だった。

陣痛が来るたびに片足を浮かせてもう片方の足で踏ん張り、呼吸に意識を向けた。

しかし、しばらくすると外から助産師さんが「セニョーラ!」と慌てた様子でノックして来た。

どうやら水がバスルームから溢れて部屋の中まで水浸しになってしまったらしいのだ。何故!?

シャワーを止めて下に目を落とすと、助産師さんが用意してくれた堰き止め用の布が排水溝に覆いかぶさって排水溝を塞いでいた!

急いで排水溝を塞いでいた布を除こうとしたものの陣痛に襲われて身動きが取れなくなり、夫が取り除いて同室の人に謝りに行ってくれた。

申し訳なくて私も出ようとしたが、夫と助産師さんに気にしなくて良いから続けろと言われ、体が冷えて陣痛が酷くなって来たこともあり、シャワーを再開した。

相部屋の弊害

シャワーから出てみると、バスルーム側に近いお隣さんのベッドの下まで水浸しになっていて申し訳なかった。

平謝りしながら自分のベッドへ。

見よう見まねのソフロロジー出産を実践するため、お気に入りのフラのハワイアンミュージックを聴いてリラックスしようと思っていたのだが…

このお隣さんがスマホで大音量でテレビを観ていたため、私の頭の中は雑音でぐちゃぐちゃになり、リラックスミュージックなど頭に入って来なかった。

私のストレス指数が上がっていったが、こちらもシャワー洪水事件を起こしてしまったので何も言えず。

お隣さんに背を向ける形でベッドに座り、ひたすら呼吸に専念した。

陣痛室が相部屋なのは辛い…

午後16時半、子宮口6cm。硬膜外麻酔の決定

何とかして穴にかかる圧力を軽減しようと、持参したテニスボールを肛門に当て、下敷きにして寝ると幾分圧力が和らいでラクになる気がしたので、しばらくその体制で耐え忍んだ。

陣痛が来る間隔が5分を切って来た頃、夫が助産師さんへ知らせに行った。

間も無く先ほど診察してくれた金髪メガネの女医さんや他の産婦人科医、助産師さん達数名が物々しくゾロゾロと部屋に入って来た。

再びお腹にNSTの器具を取り付けられる。

またNST…もう嫌だ…と思いながら、少しでも痛みを軽減したくて横向きで計測してもらうことに。ベルトの締め付けや、少しの動きの刺激でもあの猛烈な陣痛が襲って来、その度に私はフェイスタオルをギュッと握り、体を強張らせつつも呼吸に専念して耐えた。

お腹の中の息子の心音は問題無さそうだった。

ここで先生が信じられない言葉を発する。

女医「次に陣痛が来たタイミングで内診します。」

何だって!?

あの猛烈な痛みの最中に手を突っ込まれる…!?そんなことをされたらショックで死んでしまう…っ

恐怖に恐れおののいている内に次の陣痛がやって来、先生の手がズボッと入れられ、中を思い切り掻き回された。

あまりの痛みに断末魔の悲鳴をあげそうになったが、それを辛うじて堪えた代わりに、痛みが細胞レベルで限界を超えてしまったのか、下半身が痙攣を始めた。

必死で呼吸を整えようとしたが、呼吸さえも震えて上手くできなくなり、涙が流れ出て意識が遠のきそうだった。

遠のきそうな意識の中で、先生の声が聞こえる。

女医「子宮口が6cmまで開いたわ。硬膜外麻酔をしましょう。」

先ほどのショックで何の反応もう示さない私に、夫が訳して言い聞かせた。さらに

夫「Lui、麻酔だよ!やっと分娩室に移れるよ!今朝はマイナス1cmだったのに、一気に6cmまで開いたなんて凄いよ!」

やっと麻酔…この地獄の痛みからようやく解放される…

私はギュッと握り締めたフェイスタオルを口に押し当て、ボロボロと泣いた。

いよいよ分娩室へ!

つづく

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30代でイタリアへ移住。フィレンツェ近郊の田舎町での仕事・育児・イタリア語の勉強…急がず慌てず超マイペースに暮らしている主婦のブログです。
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