妊娠37週だった先週。
私の出産に対応して下さる助産師さんと麻酔科医との面談のため、出産予定の国立病院を初めて訪れた。
これまでの検査でイタリアの国立病院を訪れて来たが、出産予定の病院への訪問はこの日が初めてとなる。
妊娠&出産関連の前回の記事はこちら↓

日本とは異なるイタリアの産院事情
私は今回の妊娠が分かった当初、日本の感覚で早く出産予定病院を予約しなければ!と焦っていた。
しかし、日本とは異なりここイタリアではそのような産院争奪戦の心配はしなくても良いようだ。
人気の産院は妊娠判明と同時に出産予約をしなければならない日本
私も一度日本での妊娠を経験しているのだが、日本の場合は人気の産院は妊娠確定後(妊娠6週〜8週)に速攻で予約しなければ埋まってしまう。
だから私も妊娠が判明したと同時に希望する人気の産院に初診の予約を入れた。
初診の時点で心拍確認ができればそこで出産予約が確定となる。
妊娠8〜9ヶ月頃に決めれば良いイタリア
しかしイタリアでは妊娠8〜9ヶ月あたりに決めれば良いらしい。
ほとんどの人は国立病院で産むので、もしかしたら産科は常に十分な病床数を確保しているのかもしれない。
日本のようなホテルのような待遇のプライベートのクリニックもあるようだが、残念ながら我が家の最寄りにあるプライベート産院は医師も助産師の質も頗る悪いと聞いて却下した。
麻酔科医が常駐する総合病院が近所に
私の場合、とても幸運なことに家から車で10分という距離に新しい総合国立病院があり、そこの産科の評判がとても良いのだ。
産科専門の麻酔科医も常駐しており、無痛分娩にも対応しているらしい。
お隣のリグーリア州からもはるばるこの病院へ出産しに来る人もいるのだとか。
医療先進国とは程遠かった私の「イタリアの病院」のイメージ
しかしながら、希望は抱いていたものの前の検査で訪れたの2件のボロ病院のおかげで私のイタリアの病院のイメージは最悪だった。
果たして私が出産予定の病院は「古い・ボロい・暗い・対応悪し・カオス」の私のイメージを覆してくれるのだろうか。
イメージ最悪なイタリアの国立病院
渡伊前も後も、イタリアの病院関連の話に関してはいい噂を一度も耳にしたことが無かった。
「医療費がタダなものだから、治療の必要が無いじっちゃんばっちゃんが連日病院に押しかけて激混み」
「CTを撮りたくても予約は3ヶ月待ち」
「子供がインフルエンザで39度の高熱を出していたのに7時間も待たされた挙句、夜になってしまいやむなく帰された」
「出生前検査をしようとしたら予約が一杯で取れず、規定の妊娠週数を過ぎてしまった」
などなど…
おまけに医療費削減の話も重なり、私の中でのイタリアの病院のイメージはもはや地獄絵図だった。
日本で主治医に言われた言葉
しかしながら、私が日本で定期検診で通っていた大学病院の産婦人科の先生は
「イタリアは医療先進国だから安心していいよ」
と言っていたのだ。
権威ある先生だし、気休めに言っているようにも思えなかった。
しかし私が検査で訪れた前の2件の大病院はどう見ても医療先進国のイメージとは程遠いものだった。
出産予定病院への訪問
そんな感じで大して期待もせずに向かった私の出産予定の病院は、これまでのイメージを一気に覆すほど綺麗で新しく、近代的な病院だった。
近代的な新しい建物
着いてみると、前の2件とは違って新しくて近代的な建物だった。
入り口にはしっかりと親切な案内板もある。
↑病院の中庭。ガラス張りの近代的な建物だ。
ほぼ無人の院内
入り口で体温測定され、病院への訪問目的を尋ねられる。
渡された消毒ジェルで手の消毒をし、院内へ。
院内はガランと空いており、ほぼ無人と言ってもいいほど人気が無く、患者の姿さえ見当たらなかった。
コロナの影響だろうか…?
院内にはお洒落なバール&カフェテリアが!
日本の病院のようにコンビニや喫茶みたいな気の利いた施設などは無いだろうと思って全く期待していなかったのだが、だだっ広い院内にはオシャレなバール兼カフェテリアがあった。
ここでアイスカフェラテを頂いたが、美味しかった。
病院食が足りないor美味しくない場合はここで良いではないか!と、少しテンションが上がってしまうw
さらに同じフロアにはベビー服やマタニティパジャマを売る店や大きな薬局も入っており、2階はショッピングモールのようだった。
これなら急に必要な物が出て来ても困ることはなさそうだ。
「総合受付」が無いイタリアの病院
病院の施設自体はモダンで綺麗で安心したのだが、やはり一抹の不安を抱いたのは受付システムである。
日本の病院の場合は必ず1階に総合受付があり、そこで受付を済ませて各階の専門受付へ向かう。
が、今のところイタリアの病院で総合受付で来院の手続きをした記憶が無い。
事前の指示で「Fast Track Ostetrico(産科緊急外来?)へ来てください」と言われていたので直接産科へ向かう。
Fast Trackというくらいだから産科の救急用に特別な入り口か通路が用意されているのかと思いきや、そんなものは見当たらなかった。
日本ほど親切な案内表示も無いので、その辺のスタッフに聞きながら院内を進んでいく。
ようやく「Fast Track Ostetrico(産科緊急外来)」と表記された場所に辿り着いたけれども、入り口から気が遠くなるほど遠かった。
陣痛を抱えながらこの道のりを歩いて来なければならないのか…
Fast Trackとは一体。。
専門家にもやはり「受付」は見当たらない
そしてやはり産科にも受付のようなものは見当たらなかった。
PCR検査も受けていない人間が、果たしてこの産科の中に入っていって良いものだろうか?
誰もいないので聞く人もいない。
受付も何も無い産科の扉の前でしばらく突っ立っていたが、何も動く気配が無いので仕方なく中へズカズカ入っていった。
人気の無い産科の廊下。
看護師さんが通り過ぎるのを待っていると、5分程でようやく一人が奥から出て来た。
助産師との面談の予約が入っていることを伝えると、
「ああ、分かりました。伝えておくので表の待合席で待ってて下さい」
と。
やっぱりその辺の人をつかまえて話しかけないといけないシステムなのか?
予約した人が来院したかどうか、どうやって確認するんだろう…
そして陣痛の時なんかはどうするんだろう…
受付システムが不明なイタリアの病院。。
助産師との面談(産科)
私達は言われた通り、産科の前に並んだ椅子にぽつんと座って待った。
全くといって良いほど人気が無い。
と、そこに旦那さんに支えられ、泣きながらヨロヨロと歩いてくる一人の妊婦さんが。
陣痛で泣きながら椅子で待つ妊婦さん
彼女は大きなお腹なので、私と同じくらいの週数に見えた。
二人はそのまま産科の中に入って行ったが、しばらくすると出て来て入り口前に並んだ椅子に座った。
妊婦さんは呻き声をあげながら泣いていて、旦那さんはどこかに電話していたが、妊婦さんはそれに怒ったのか旦那さんを怒鳴りつけてベシッと叩いていた。
私が「陣痛かな…」と小声で聞くと、
夫は「産前うつ状態なんだろう」と言った。
妊婦さんは待合席で落ち着きなさそうに体を捻ったり前に倒したりなどしていたが、しばらくして中から看護婦さんに呼ばれて入っていった。
あれだけ苦しそうな状態でも待合席で待たされるのか…
私は覚悟を決めた。
待てど暮らせど呼ばれないので再び突入
一方、私達の方は待てど暮らせど呼ばれない。
そのうち忘れ去られているのではと心配になり、夫がもう一度アピールしに行った。
するとようやく中へ通された。
…イタリアではこんな風に何度もアピールしなければならない超非効率なシステムが普通なのだろうか。。
患者を捌く受付も無く一体どうやって患者を管理しているのか、非常に不思議である。
助産師との面談
通された部屋には優しそうな年配の助産師さんがいた。
そこでされた質問はアレルギーに関するものや既往症の有無、これまでの手術歴などだった。
質問票には夫が記入してくれた。
助産師さんは
「私はもうこんな歳だから英語は話せないけど、若い助産師なら少し英語が話せるスタッフもいるから安心してね」
と言ってくれた。
あとは何か質問があるかと尋ねられたので、私から持ち物に関する質問をいくつかし、あっさり終了。
陣痛が始まった妊婦さんへの塩対応を目にして戦々恐々
産科を後にすると、先ほど泣いていた妊婦さんの旦那さんが椅子に座ってソワソワ待っていた。
夫が話しかけてみると、やはり陣痛だったようだ。
…夫よ。勝手に人様を産前うつとか決めつけるなし。。
しかし、陣痛が始まっても待合席で待たされるという塩対応。
あんな扱いなのか…駐車場からこのだだっ広い院内を自力でこの産科まで歩き、さらに人が来るまで待合席で普通に待たされるのか…
産気づいたらもっと特別扱いしてもらえると思い込んでいた私には、自分のお産前に現実を見せられて良かったのかもしれない。
麻酔科医との面談(麻酔科)
翌々日、麻酔科医との面談予約で再び病院を訪れた。
今度は産科ではなく地下の会議室エリアのような場所に通された。
その内の一室に金髪の美しい女性麻酔科医の姿。
麻酔アレルギーの有無の確認と心電図の提出
そこではこれまでに麻酔を使った手術歴はあるか否か、その時にアレルギー反応はあった否かを聞かれた。
私は2年前に全身麻酔での手術を経験している。
幸い麻酔で何か体調に異変が起きた記憶はなかったので私は無いと答えた。
そして先週廃院寸前の病院で取ってきた心電図を提出した。
硬膜外麻酔(anestesia epidurale)についての説明
次にこの病院で受けられる麻酔について説明された。
この病院で行われる麻酔は”anestesia epidurale(硬膜外麻酔)“というものだと言われた。
イタリアの病院では日本のように「無痛分娩」という曖昧な表現ではなく医療用語そのものが使われるようだ。
どこかで「イタリアは和通分娩がメイン」という情報を目にしたので、和痛分娩ではなくちゃんと無痛分娩に対応してくれるかが知りたかった。
“anestesia epidurale(硬膜外麻酔)”であれば無痛分娩で間違いないだろう。
私は初めから無痛を希望していると医師に伝えた。
しかし、麻酔の投与は分娩の進み具合によるらしく、自分で必要だと感じた時に「打って下さい」とお願いしなければならないようだ…
麻酔投与の同意書もその時にサインして渡すらしい。
…陣痛時にそんなことをする余裕があるのだろうか。。
頼まなくても打って欲しかったが、従うしかない。
無痛分娩を希望する場合は事前に血液検査の凝固作用をチェックする必要があるようで血液検査の指示書を出された。
綺麗で新しい病院に一安心
こうして一連の検査と出産予定病院への訪問が完了した。
陣痛当日の扱いには未だ一抹の不安を抱きつつも、出産予定の病院が新しくて綺麗だと分かっただけでもかなり安心することができた。
入院バッグの準備もおやつの準備も万端なので、あとは時が来るのを待つのみである。
肝心の息子くんは妊娠38週に入った本日も呑気にしゃっくりをしている。
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