イタリア、トスカーナ州にある大理石の街、ピエトラサンタ(Pietrasanta)をご存知だろうか。
実は日本の東京都庁に使われている大理石もこのピエトラサンタで採れたものだ。
今回はヴェルシリア地方の中心地、アートギャラリーが集う中世の小さな城塞都市ピエトラサンタを紹介する。
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ピエトラサンタ(Pietrasanta)の位置とアクセス
トスカーナ州にあるピエトラサンタは、フィレンツェやピサ、ルッカやチンクエテッレといった日本でも有名な観光地から便利な場所に位置する。
ピエトラサンタの位置
ピエトラサンタはイタリアのトスカーナ州の北西、ルッカ県のヴェルシリア地方というエリアの中心となるコムーネ(基礎自治体)だ。
フィレンツェからは北西に約110km、ピサからは北に約30kmほどの場所にある。
ピエトラサンタへのアクセス

トスカーナ地方の主な駅 https://www.tripsavvy.com/
↑ピエトラサンタ(PIETRASANTA)は路線図の左上、ピサ(PISA)とマッサ(MASSA)の間に位置している。
ピエトラサンタは高速からも近く、街の中心には駅もあるので電車でもアクセスが良い。
電車だと、フィレンツェからはピサ経由で2時間ほど、ピサからはラスペツィアやジェノヴァ行きに乗って30分ほどで着く。
ピエトラサンタの(Pietrasanta)の概要
アプアンアルプスの麓にあるピエトラサンタはトスカーナ州北部の歴史あるコムーネ(基礎自治体)であり、ヴェルシリア地方の中心地だ。
イタリア語で”pietra(ピエトラ)”は石、”santa(サンタ)”は”聖なる”の意味。
街の名の由来は、13世紀にこの街を支配した当時の市長ギスカルド・ダ・ピエトラサンタ(Guiscardo da Pietrasanta)の名前から取られている。
しかし偶然にも「聖なる石」という名前がつけられたこの街は、その名の通り古くから良質な大理石の産地として有名なのだ。
ミケランジェロが魅せられた真っ白な大理石
↑ミケランジェロの代表作・サンピエトロのピエタ
1498年、ミケランジェロはフランス人枢機卿ジャン・ド・ビレール・ド・ラグロラからピエタの制作依頼を受け、自らの足で大理石を求めてピエトラサンタの石切場を訪れた。
そこでピエトラサンタの真っ白に輝く大理石に魅せられた。
こうして誕生したのがミケランジェロの傑作、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂に展示されているピエタである。
このことからミケランジェロの代表作の多くはピエトラサンタの大理石が使われている。
(ダビデ像についてはカッラーラの大理石が使われたといわれている→詳細はフォルテ・デイ・マルミの紹介記事に記載)
しかし残念ながら現在では真っ白に輝く大理石は採り尽くされてしまい、現在採れる大理石の多くは灰色なのだそうだ。
世界中のアーティストが集まる芸術の街”リトル・アテネ”
大理石とブロンズ加工の中心地となっているピエトラサンタには世界中から彫刻家をはじめとした芸術家たちが集まる。
彼らが街のそこここにアートギャラリーを設けていることから、ピエトラサンタは”リトル・アテネ(小さなアテネ)“とも呼ばれている。
↑旧市街の通りを歩いていると、こうしたアートギャラリーが頻繁に目につく。
ティレニア海に面した一大リゾート地
ピエトラサンタもフォルテ・デイ・マルミやヴィアレッジョなどの他のヴェルシリアの街と同様にイタリア有数の一大リゾート地であり、夏にはバケーションを過ごすために大勢の観光客が国内外からやってくる。
後述するが、海沿いにある分離集落(frazione:フラツィオーネ)であるマリーナ・ディ・ピエトラサンタ(Marina di Pietrasanta)も夏は観光客で賑わう。
実は宇都宮市の姉妹都市
実はピエトラサンタは1995年8月に栃木県宇都宮市と文化友好都市提携が成され、姉妹都市となっている。
栃木県では大谷石という石材が採れることから、お互い「石の街」として市の職員同士の交流が続いているそうだ。
その証として、ピエトラサンタ市内の公園には日本庭園が設けられている/。
ピエトラサンタの見どころ
こじんまりとしていてただ夕暮れ時にぷらぷらと旧市街を散歩するだけで楽しいピエトラサンタだが、いくつか見どころもある。
ドゥオモ広場(Piazza del Duomo:ピアッツァ・デル・ドゥオモ)
ピエトラサンタで一番有名な場所といえば、このドゥオモ広場だ。
広場からはかつて城塞都市だった面影を思わせる要塞(Roccadi Sala:ロッカディ・サラ)が見える。
サンマルティーノ大聖堂に面したこの広場にはカフェやレストランも軒を連ねる。
↑夏の夜を楽しむ人々で賑わうドゥオモ広場。
サンマルティーノ大聖堂
↑画像右が大聖堂。中央が鐘楼。
1223年に創設されたロマネスク-ゴシック様式の教会。
真っ白な大聖堂は見事に大理石で造られている。
その後幾度か拡張工事や改装が繰り返され、17世紀に大理石の数々のファサードが施された現在の姿になった。
ドゥオモ横の鐘楼はミケランジェロの設計といわれているが、フィレンツェの建築家ドナートベンティによって完成された。
鐘楼は当時、ドゥオモと同じく白い大理石で覆われていたようだが、現在はレンガが剥き出しになっている。
36mの鐘楼の中には有名な螺旋階段があるらしい。
時計塔(Torre delle Ore)
この時計塔もドゥオモ広場に面している。
元は1533年に造られたが、現在の姿になったのは1869年といわれている。
14世紀〜現代の有名な芸術家の作品がゴロゴロ見つかる街中
ピエトラサンタの街中に沢山見られる彫刻も、著名な芸術家たちの作品だ。
例えば街中の小さな広場にはポーランド出身の彫刻家イゴール・ミトライが寄贈したブロンズ像「ケンタウロス」がある。
聖アゴスティーノ教会(Sant’Agostino)やサンアントニオ・アバテ教会(S.ANTONIOABATE)では、14〜17世紀の画家達の作品に混ざってコロンビア出身の現代アーティストであるフェルナンド・ボテロののフレスコ画も飾られている。
これらのピエトラサンタで活躍してきた芸術家達の作品をもっと見たい場合はボッテッティ彫刻博物館に数多く展示されているので、訪れてみると良いだろう。
マリーナ・ディ・ピエトラサンタ(Marina di Pietrasanta)
ピエトラサンタまで来たなら、是非とも歴史ある海辺リゾートのマリーナ・ディ・ピエトラサンタにも立ち寄って欲しい。
マリーナ・ディ・ピエトラサンタはピエトラサンタの中心地から約3km、ビーチ沿いにある分離集落(frazione:フラツィオーネ)だ。
海沿いの道の隣にはレストランやジェラテリア、アパレルショップなどが並ぶ遊歩道があり、車の往来を気にせずのんびりと街歩きを楽しむことができる。
また、海沿いには有名なナイトクラブが立ち並ぶ。
ベルルスコーニをはじめとしたイタリアのセレブリティが贔屓にするTWIGAもここにある。(公式サイトではフォルテ・デイ・マルミとなっているが、地理的にはマリーナ・ディ・ピエトラサンタである)
TWIGAにはレストランもあり、会員でなくても夕食を楽しむことができるので、興味のある人は訪れてみても良いかもしれない。(予約は必須)
まとめ
↑七夕のように愛の詩が道一面に飾られたピエトラサンタ
ピエトラサンタの旧市街には美味しいレストランやバールがあるので、ランチやディナーのためだけに立ち寄るのもお勧めだ。
また、お洒落なオーダーメイドの洋服屋をはじめとしてセンスの良いアパレルショップも並ぶので覗きながら歩くのも楽しい。
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