ようやく私がイタリアへ移住する決心ができ、始まった家探し。
まずはじめに夫が候補地として選んだリグーリア州の2つの街は、どちらもあまりにも私が思い描いていたイメージとかけ離れており、私は拒否反応のあまり旅行中に体調を崩してしまった。
前回の話はこちら↓

ローマで生き返った私
夫は私が喜ぶと思い、素敵なホテルを予約してリグーリア州の居住候補地に私を連れてきてくれた。
それなのに私があまりに強い拒否反応を示し、挙句に熱まで出したものだから夫のショックもかなり大きかった。
これについては本当に申し訳なく思っている。
険悪な空気の中、私達はリグーリア州を後にしてローマに着いた。
ローマ(の中心部)は美しかった。
豪華で美しい建造物に綺麗に舗装された歩道。
建ち並ぶファッショナブルなブランドの店。
街ゆく人達もお洒落だった。
1人で寛げそうな雰囲気の良い現代風のカフェもあった。
そう、地元民がコミュニケーションのために訪れる昔ながらの小さなバールではなく、若者がラップトップを片手にフラッと訪れて作業できるようなカフェが。
…ああ、これだ。こんな街なら暮らしていけるのに…!
ローマを歩きながら、私の目は輝きを取り戻してきた。
そんな様子を見て夫も少し安心する。
私はイタリアを全否定しているわけではないのかもしれない…と。
国際色豊かな街なら私も気に入るかもしれない。
国際色豊かな学生の街、ピサ
その後、斜塔で有名な観光都市、トスカーナ州のピサに焦点が当たった。
夫の職場からはかなり遠くなってしまうものの、ギリギリ通勤範囲内だったからだ。
学生の街ピサ。小さなフィレンツェ
ピサといえば斜塔、というイメージがあるが、沢山の大学があることでも知られている。
スクオーラ・ノルマーレ・スペリオーレ・ディ・ピサ(ピサ高等師範学校)やサンターナ大学院大学など、世界的に有名な名門大学もピサにある。
そのため、ピサには世界中から沢山の留学生が集まってくるのだ。
きっと国際色豊かな街に違いない。
また、フィレンツェと同じく街の中をアルノ川が流れ、川沿いの雰囲気はフィレンツェとよく似ている。
フィレンツェは南伊レッチェと並んでイタリアで私が唯一好きな街だった。
そういうわけで、私達はピサで家探しを始めることにした。
私は東京に残り、夫は先にイタリアへと旅立ち、遠距離結婚を続けながらピサで家を探し続けた。
ピサの賃貸物件は学生向けのシェアハウスばかり。困難極める家探し
街自体は素敵だったが、問題は家だった。
夫から送られて来た候補の家々は…どれも学生寮といった感じの部屋ばかりだったのだ。
お湯を沸かす気にもなれない貧相なキッチンに年季の入ったちゃっちいシングルベッド。
ダストアレルギーを起こしそうな色褪せたソファーにおまるのような何も置けないシンク…
そして狭い。
学生の街ピサで家を借りるような家族連れはあまりいないようで、ファミリー向けの物件が欲しければ購入するしかないような状況だった。
しかし住んだこともないイタリアで突然家を購入するのはリスクが高すぎる。
ようやく見つかった理想の家
しかしある日、夫が目を見張るような素敵な家の写真を送って来た。
光の差し込む大きなガラス戸のあるリビングにフローリング。
ジャグジー付きのバスタブのある高級ホテルのようなバスルームにスライド式のウォークインクローゼット。
…この家は何!?ビバリーヒルズじゃなくて本当にピサなの!?
夫、早速内見へ
私は条件反射的に夫へに速攻で内見に行って欲しいと頼んだ。
そこで夫は職場から遠く離れたピサまで、遥々内見しに行ってくれた。
その感想は
「君が見たら100%気に入るよ」
1階にはオーナーが住んでいて、私達が住むのは2階部分ということだった。
オーナーのお金持ちそうなマダムは良い人そうで、妻が日本人だと言ったら興味津々だったと言う。
これはもう、ここに決めるしかない!!
翌年の年末に私も内見へ
こうして2018年、またクリスマス休暇がやってきた。
私はレッチェへの帰省の前に夫の滞在先に立ち寄った。
そしてピサのその理想の家を見に行くことになった。
その家は閑静な住宅街の中に有り、目の前の通りは住人以外立ち入れないようにゲートがあった。
広い芝生の庭の奥に、イタリアでは滅多に見かけない、私好みの真っ白でモダンな家が建っていた。
気分上々で中を見せてもらう。
オーナーが頑丈なセキュリティシステムを解除しているのを見て、これなら戸建てでも安心だな、と思う。
中は広々としていた。
他の賃貸物件で見かけた古い物件とは違い、ちまちまと部屋で区分けされておらず、今風にリビングダイニングは繋がっていた。
内装は、これまたイタリアには珍しいフローリングで、写真からは見ることができなかったキッチンには、大きなディッシュウォッシャーが付いていた。
そして、ジャグジー風呂!!
これで家賃は東京の一人暮らし向け賃貸より安いくらいだ。
申し分ない!
オーナーは私に向かって
「あなたと話すために英語を勉強しなくちゃね!」
と言った。
いい人そう…!!
大満足で帰国した私。
その後、夫は年明けにこの家に申し込むために再びピサまで足を運んだ。
やっと家が決まった…めでたしめでたし。
と思っていた。この時は。(続く)
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