フォルテ・ディ・マルミ(Forte dei Marmi)- セレブが集うトスカーナのビーチリゾート
「トスカーナの海辺」と言っても、日本ではあまり馴染みが無く、ピンとこない人もいるのではないかとと思う。
しかし、来てみればとても素敵なエリアなのだ!
というわけで、ぼちぼち私が住むトスカーナ州のビーチエリアについて紹介していこうと思う。
まずは地球の歩き方には載っていない、私のとっておきのお気に入りスポット、フォルテ・ディ・マルミだ。
高級リゾート地フォルテ・ディ・マルミ(Forte dei Marmi)
フォルテ・ディ・マルミの位置
フォルテ・ディ・マルミは、フィレンツェやピサなどで有名なトスカーナ州のルッカ県、ヴェルシリア(Versilia)地方にある。
フェイレツェのサンタマリアノヴェッラ中央駅(Firenze SMN)からは電車で1時間45分ほどで最寄駅フォルテ・ディ・マルミ/セラヴェッツァ駅(Forte dei Marmi/Seravezza-Querceta)に着く。
駅からビーチリゾートエリアは5kmほどあるので、バスかタクシーで向かうことになる。
高品質な大理石の採石場として発展した街
フォルテ・ディ・マルミは、ルネサンス真っ只中の16世紀、メディチ家によって急速な発展を遂げる。
フォルテ・ディ・マルミの背後には高品質の大理石が採れることで有名なアプアン・アルプス山脈が聳えている。
このアプアン山脈には、フォルテ・ディ・マルミが発展する以前に採石場として有名だったカッラーラが有り、カッラーラで採れた大理石は、あのミケランジェロのダビデ像に使われている。
1518年、ミケランジェロはメディチ家出身のローマ教皇レオ10世により、メディチ一族の教会サン・ロレンツォ大聖堂のファサード再建を一任された。
これを受けて、ミケランジェロはカッラーラだけではなく、同じくアプアン・アルプス山脈の麓にある街、ピエトラサンタにも採掘場を設ける計画を立てた。
しかし、レオ10世はピエトラサンタではなく、セラヴェッツァに採掘場を設けるように命じる。
これが元で、セラヴェッツァで切り出された大理石を運ぶため、セラヴェッツァ周辺の道路が整備され、船で運ぶために海沿いの整備も進んだ。
こうして海沿いの街フォルテ・ディ・マルミも発展を遂げることになる。
ヨーロッパ中のセレブが集うビーチリゾートへ
1800年代に入り、フォルテ・ディ・マルミを含むヴェルシリア地方は夏の避暑地として栄えるようになり、中でもフォルテ・ディ・マルミは、当時の貴族達に人気のラグジュアリーリゾートとなった。
現在でもヨーロッパ中のセレブや政治家、有名なサッカー選手がフォルテ・ディ・マルミにセカンドハウスを持つ。
その例として、フィアットの元名誉会長ジャンニ・アニェッリに始まり、ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニや有名テノール歌手のアンドレア・ボチェッリなどが挙げられる。
最近ではロシアの富豪もフォルテ・ディ・マルミにセカンドハウスを持つようになり、街を歩いているとロシア人の姿もよく見られる。
前ベルギー王妃(パオラ・ルッフォ・ディ・カラブリア)の生まれ故郷
パオラ王妃は1937年、空軍のエースだったイタリア貴族フルコ・ルッフォ・ディ・カラブリア公とその妻ルイーザの三女として、このフォルテ・ディ・マルミで生まれたそうだ。
その後ローマで次期ベルギー国王となるアルベール王子と出会い、結婚。
現国王となるフィリップが生まれたという。
アンドレア・ボチェッリによるセレブファイトナイト財団のディナーの開催
テノール歌手アンドレア・ボチェッリは、2019年11月に映画「アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール」が日本でも公開されている。
このアンドレア・ボチェッリは2014年と15年に世界中の有名セレブを招いて セレブファイトナイト財団(Celebrity Fight Night Foundation)によるディナーパーティーを主催したそうだ。
その際、ソフィア・ローレンやジョージ・クルーニー、セリーヌディオンなどの作曲を手がけたデイヴィッド・フォスター、ブロードキャスターのラリー・キング他大勢の有名人達がこのフォルテ・ディ・マルミに集ったという。
フォルテ・ディ・マルミ(Forte dei Marmi)の楽しみ方
ハイシーズンはラグジュアリーなビーチリゾートを満喫
フォルテ・ディ・マルミの海
何と言っても最高の季節はやはり7〜8月。
イタリア国内はもちろん、ヨーロッパ中からバケーション客が訪れ、全長約11kmにも及ぶ長く広大なビーチには、一斉に海の家が建ち並ぶ。
街は深夜2時過ぎまでま音楽やダンスを踊る人々で賑わい、昼はビーチ、夜は街でナイトライフを楽しむことができる。
↑フォルテ・ディ・マルミの名物とも言われる桟橋。
向こうの方に白い大理石の山々、アプアン・アルプス山脈が見える。
↑これはまだ海の家が建ち並ぶ5月の様子だが、既に海水浴を楽しむ人々がいた。
↑遥か遠くにリグーリア州が見える。そこまで延々と延びるビーチ。イタリアにこんなに広大な白い砂浜のビーチがあることを、私はここに住み始めるまで知らなかった。
↑南イタリアには敵わないが、水質も中々悪くない。
↑たまにカニさんがのんびり歩いていることもあるので、踏んづけないように。
海で泳ぐ際には、海の家でビーチパラソルとベンチのセットをレンタルする。
値段はピンキリだが、ハイシーズンだと一番安くても€100は超えてしまう。
節約派の地元民は、自前のパラソルを担いでフリーのエリアに陣取っている。(有料パラソルのエリアに陣取ると追い出されてしまうので注意)
↑中にはこんなラグジュアリーなパラソルも。この辺だと一日€300〜400ほどかかってしまう。
↑何ともラグジュアリーな空間。
ビーチの後はアペリティーボ
日中に海で遊んで疲れたら、一度ホテルに戻ってシャワーを浴び、ドレスアップをして海沿いに建ち並ぶバーやレストランでアペリティーボ(食事の前の軽食)を楽しもう。
↑桟橋のすぐ横にあるバー&レストランは、手頃な値段ということもあり、いつも賑わっている。この2階部分はハイシーズンのみ解放されていて、夕日が沈む海を眺めながらアペリティーボを楽しむことができる。
↑桟橋近くのレストランの2階。この日は少し雲が出てしまったが、正面で夕日を眺めることができる。
↑この日の締めはモヒート。後ろのスナックは、飲み物を頼むと一緒に付けてくれる。
ミニフォカッチャや生ハム、ナッツ、ポテトチップスなどの盛り合わせだ。
ショッピングスポットとしても楽しめるフォルテ・ディ・マルミ
オシャレなセレブリティが集うフォルテ・ディ・マルミの街の中では、ショッピングも楽しむことができる。
ハイブランドのブティックが並ぶ街中
↑フォルテ・ディ・マルミのメインストリートの歩道には大理石が敷き詰められている。
フォルテ・ディ・マルミの街には高級ブランドのブティックが立ち並び、よく整備された街中は、イタリアには珍しく、ピンヒールで歩くことも可能だ。
街中に建ち並ぶ店を見てみると、プラダ、ヴェルサーチ、トッズ、ドルチェ&ガッパーナ、アルマーニと、有名なイタリアブランドの店はもちろん、セレブ御用達のセレクトショップ「フィアッキニ」、高級靴のセレクトショップ「マウロ ヴォルポーニ」、ロベルトカヴァリ、さらにはルイビトンやロレックスなどの海外の高級ブランド点も並び、庶民には目眩がしてしまいそうな場所だ(笑)。
↑花もよく手入れされ、美しい街並み。
↑ハイシーズンには駐車場を借りるのが困難なため、バケーション客はレンタサイクルをして街中を自転車で移動している。
↑ショッピングに疲れたら、街中のバーでカフェシェケラートを。ホッと一息。
フォルテ・ディ・マルミのマーケット(FORTE DEI MARMI MARKET)
フォルテ・ディ・マルミは、実は毎週開かれる大規模でオシャレなマーケットでも有名だ。
毎週水曜日と日曜日の午前中には、広場にテントが張り巡らされ、沢山の店が出店する。中には有名デザイナーの服や革製品、カシミヤ製品などの店もあり、フィレンツエやミラノから出店しに来る店もある。
フィレンツェなどの路面店で買うよりもお得に手に入るというだけあり、いつも沢山の客で賑わっている。
↑円形の広場にズラッと建ち並ぶ店。
↑掘り出し物が揃う店には沢山のマダム達が群がっている。
↑さすがイタリア。オシャレなメンズ服も揃っている。
↑ビーチ服の持ち合わせが無い場合、現地で買ってフォルテ・ディ・マルミ・ビーチガールを装っても良いかもしれない。
↑この日はカヴァッリのシャツが半額以下で出ており、夫が大興奮!
↑センスの良いリネン類も揃う。…カルフールじゃなくてこっちで買えば良かった…
広く長いサイクリングロードは自転車乗り達にも大人気
海沿いの広い通りにはサイクリングロードが整備されていて、自転車をレンタルしたバケーション客はもちろん、競輪選手達もトレーニングで使っている。
車で走っていると、その自転車の数に驚かされる。
とまあ、以上がフォルテ・ディ・マルミの紹介となる。
フォルテ・ディ・マルミには食通も唸らせる美味しいレストランも沢山あるのだが、それはまた別の記事で紹介しようと思う。
イタリアでビーチリゾート、など、日本人はあまり結びつかない人も多いと思うが、夏にトスカーナを訪れた際には、是非立ち寄ってみてはいかがだろうか。