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NHK スイーツ列車紀行「欧州・魅惑のお菓子誕生秘話」- シチリア編
これは昨年2019年2月2日(土)に放送されたものなので、もう一年以上前!汗
女優の高島礼子さんが列車でイタリアを縦断しつつ、各地域のスイーツを巡る旅のドキュメンタリーなのだが、昨年渡伊を控えていた私は、この番組を観てイタリア行きのテンションを高めたものである。
番組では、イタリアの南端シチリア島から北はパリまで、全長2600kmを旅をする。
今回の記事では初めのシチリア島の代表的なお菓子を紹介したいと思う。
シチリア島の代表的なお菓子
カンノーリ in シラクーザ(Siracusa)
シチリア発祥の有名なお菓子、カンノーリ。
単数形はカンノーロ(cannolo)だが、日本では複数形のカンノーリ(cannoli)で親しまれているようだ。
映画ゴッドファザーでも、マフィアが人を殺した直後にカンノーリを食べるシーンなども有り、シチリアンマフィアも愛して止まないお菓子だそうだ。
カンノーリはシチリア島ならどこでも食べられるが、番組で紹介されたのはシチリア島の南東の都市、シラクーザ(Siracusa)という町にある、カンノーロ・テラピア(Cannolo Terapia)というお店。地元メディアにも取り上げられている、結構有名なお店のようだ。
ちなみにシラクーザは、ギリシャ・ローマ時代の遺跡が沢山ある美しい街で、パレルモ、タオルミーナに次ぐシチリアの人気観光地だ。
カンノーリの作り方
カンノーリはお店によっても作り方が異なる。
この店にもレシピは無く、自分の記憶と経験だけが頼りになるそうだ。
このCannolo Terapiaでは、まず小麦粉とココアパウダーを練り合わせて生地を作り…
筒の周りに巻いて整形する。
ちなみにカンノーロ(cannolo)は「小さな筒」という意味も持つそう。
そして巻いた生地を型ごと油で揚げる。
このお店のクリームは、こってりした羊乳とあっさりした牛乳を混ぜて作る。
羊乳の状態は牧草や天気・気温で味が変わるので配分も毎日変えるそうだ。
そして砂糖の量で柔らかさを調整する。
このリコッタクリームが生物なので、昔は冬限定スイーツだったらしい。
揚げ上がった生地の中にこのリコッタクリームをたっぷりと詰め…
これにドレインチェリーとアーモンド、ピスタッチオとオレンジピールなど、シチリアの特産品を飾り付けて完成!
カンノーリの驚くべき伝説 – カンノーリは主人への捧げ物
シチリア島がイスラムに制覇されていた時代、女達は主人に気に入られるため、男性の象徴を模ったお菓子を作り、これが起源になったという説。
「食の快楽と体の快楽は同じ。美味しい食べ物は子孫繁栄のために必要だった。」
とのこと。
わお。。
シチリア島以外でカンノーリが食べられるお店
「シラクーザに行けなくても美味しいカンノーリが食べてみたい!」という場合、私の好みだが、”I DOLCI DI NONNA VINCENZA(イ ドルチェ ディ ノンナ ヴィンチェンツァ)“というお店がお勧めだ。
↑カターニャ市内にいくつも店舗があるが、私が行ったのはカターニャ空港の中にある店舗。
NONNA VINCENZAのカンノーリは、生地の中にチョコレートのコーティングがしてあり、中に甘さ控えめの冷んやりとしたリコッタクリームが入っている。
私が初めてカンノーリを食べたのはNYのイタリアタウンだったのだが、その時に食べたカンノーリが脂っこくて甘ったるくて懲りてしまったのだが、このカンノーリはとても美味しかった!
シチリア以外にもローマ、ミラノに店舗があるようなので、食べてみたい方はチェックしてみて頂ければと思う。
ミンネ ディ サンタガタ(聖アガタの乳房) in カターニャ
ミンネ ディ サンタガタ(Minne di Sant’Agata)は、その名の通り、乳房の形を模ったお菓子。
シチリア島カターニャの守護聖人である聖アガタの乳房を模ったもの。
カターニャはシチリア島東部の都市で、ヨーロッパ最大の活火山、エトナ山のすぐ南に位置する。シチリアではパレルモに次いで2番目に大きな都市だ。
1169年と1693年にはエトナ山の大規模な噴火により甚大な被害を受けた。
このカターニャの街の守護聖人とされているのが聖アガタである。
聖アガタは紀元3世紀頃に実在したとされる人物で、シチリア島、カターニャで生まれた。
大変美しかった彼女は、当時シチリアを支配していたローマ総督の目に留まり、求婚されたが、神に仕える身としてこれを拒絶。
怒った総督により拷問にかけられ、両方の乳房を切り落とされてしまったという。
それでも獄中で祈りを捧げるアガタの前に、聖ペドロが現れ、彼女の乳房は完全に治癒したという。
これに恐れをなしたローマ総督は、彼女を火あぶりにして処刑しようとしたが、丁度その時、地震が起き、彼女は処刑を免れたものの、獄中死したということだ。
今ではちょっと考えられない話である…
10代の女の子にこの狂気に満ちた拷問…
随分とサイコな変態おっさんがシチリアを収めていたものである。
その後聖アガタは聖人となり、毎年2月5日「聖アガタの日」にこのミンネ ディ サンタガタを作って感謝するのだそう。
ミンネ ディ サンタガタの中身はリコッタチーズ、チョコレート、ドライフルーツなど。
番組中では高島礼子さんが「甘〜い!」と言っていたが、その後「旅するイタリア語」でも俳優の小関裕太さんも「あっま!」と言っていたので、日本人にはかなり甘いお菓子であると想像できる。
モディカチョコレート in モディカ
以前、イタリアのお勧め土産の記事でも紹介したモディカチョコレート。
モディカはシチリア南部に位置する街。
後期バロック様式の街で、2002年に世界遺産に登録された。
ペルージャ、トリノに並ぶイタリア3大チョコレートの町だそうで、街の中の至る所にモディカ・チョコレートを扱う菓子屋が並んでいるという。
チョコレートの元祖、モディカチョコレート
チョコレートの起源は紀元前の中南米。
当時カカオは、香辛料と混ぜてお湯に溶かし、薬や強壮剤の飲み物として飲まれていた。
そしてスペインがアステカ帝国を滅ぼした戦利品として、カカオがシチリアに持ち込まれた。
そして400年前、スペイン支配下にあったこのシチリア島で、アラブからやってきた砂糖と出会い、甘いチョコレートになった。
つまりシチリアはチョコレート発祥の地!
チョコレートは正に文明の十字路が生み出したスイーツというわけだ。
そしてこのモディカチョコレートは、当時のままの製法で作られている。
モディカチョコレートの製法
モディカチョコレートの材料は、カカオと砂糖のみ。
バターやミルクは使わない。
このカカオと砂糖を低音で加熱するため、砂糖の粒が残る。
これが「外はツルツル、中はザラッ」と、クッキーのような独特の食感を生み出す。
↑チョコレートの中に残る砂糖の粒。
↑これが混ぜ合わせた状態。45度の低温で混ぜ合わせていくので砂糖の粒が溶けずに残り、豊かな香りも保たれる。
この混ぜ合わせた物を金型に入れ、職人が打ちつけて表面を滑らかにしていく。
ここで職人の技が光るのだとか。
この打ち付ける作業で出る音は、シチリアでは「チョコレートの音楽」と言われているのだそう。
↑この上側が職人が打ち付けた後。下が打ち付ける前。表面がツルツルの美しい見た目になっているのが分かる。
アンティカ・ドルチェリア・ボナイユート(Antica Dolceria Bonajuto)
番組で訪れていた店は、アンティカ・ドルチェリア・ボナイユート(Antica Dolceria Bonajuto)。
1880年創業の、モディカで最も歴史あるチョコレートの老舗だそうだ。
↑店内には色々な味のモディカチョコレートの味見がズラリ。
バニラ、カカオ70%の他、ナツメグやコショウなど、豊富な種類のモディカチョコレートが取り揃えられている。
このアンティカ・ドルチェリア・ボナイユート(Antica Dolceria Bonajuto)のモディカチョコレートは日本でも購入可能だ↓
メッシーナ海峡を渡ってナポリへ
番組はシチリアを去り、ナポリを通ってフィレンツェを目指す。
シチリア島と本島の間にあるのがメッシーナ海峡だ。
メッシーナ海峡は橋が無いため、何と電車の車両ごとフェリーに乗せて運んでしまう!
↑列車に向けてあ〜んと口を開けるフェリー。船内にはレールが。
↑フェリーの中に格納されていく列車。
メッシーナ海峡を渡るまで30分の船旅。
続編、ナポリ、フィレンツェ…イタリア本島のドルチェについてはこちら↓
