葉酸には造血作用や細胞分裂を促進させる働きがあり、胎児の成長に欠かせない栄養素として有名だが、何となく日本とイタリアではその重要性に温度差を感じた、という話を書こうと思う。
日本では「何となく飲んだ方が良い」程度の位置付けの葉酸
妊活アプリを使っていると「葉酸」という言葉をよく目にする。
なので妊娠を意識し始めると自然に葉酸サプリのことが頭をよぎる人も多いのではと思う。
しかし日本で妊娠した際、医師から葉酸を処方された記憶は無い。
日本では葉酸サプリの摂取は個人の判断に任せられていて医師が処方するものではない、というのが私の認識である。
また、実際に出産した周りの友人の話を聞くとサプリは飲まなかったという話も多く、私も妊娠前に葉酸サプリは飲まなかった。
そして「葉酸サプリは妊娠前に飲まないと意味がない」と考えている人もいる。
結果、「何となく飲んだ方が良さそうだけど飲まなくても問題ない」程度でそこまで重要であるという認識は薄いように感じる。(あくまで私の周りの話だが…)
イタリアでは妊娠判明時に医師から処方
一方イタリアで診察を受けた私は妊娠5週で私が初めて産婦人科を訪れた際、先生から直ちに飲み始めるようにと葉酸が処方された。
それもマルチビタミンのようなものではなく、医療用にも用いられるメチルテトラヒドロ葉酸カルシウムの錠剤だった。
これは葉酸欠乏症の人や、癌治療のために葉酸の働きを抑制する葉酸拮抗薬を投与されている患者にも処方される薬らしい。
妊娠した後も葉酸が必要なことを私はこの時初めて知った。
そして先生の指示通り妊娠3〜4ヶ月頃までこの葉酸錠剤を1日1錠飲み続けた。
日本の厚生労働省による推奨摂取期間
日本の厚生労働省のサイト(e-ヘルスネット)には、妊婦の葉酸の推奨摂取期間について以下のように記載されている。
諸外国の研究結果から神経管閉鎖障害のリスク低減のための葉酸の摂取時期はおよそ妊娠1か月以上前から妊娠3か月までとされています。
参照:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
というわけで、「葉酸は妊娠前に飲まないと意味がない」という認識は間違いのようだ。
葉酸を摂取することで低減できる胎児の障害リスク
妊娠前後で葉酸を摂取することで神経管閉鎖障害(NTD)の発症リスクを下げることができるというのはどの育児書や育児サイトにも記載されているので知っている人も多いと思われる。
しかし自閉症の発症リスクも下げる可能性があるという情報はほとんどの人は知らないのでは無いだろうか。
私も今回たまたま厚生労働省のサイトを読んでいて初めて知ったのでこの記事でシェアしたいと思う。
神経管閉鎖障害(NTD)
母親の葉酸不足は胎児の無脳症や二分脊椎など重度の先天性障害を引き起こす神経管閉鎖障害(NTD)の発症リスクを高めてしまう。
この重度先天性障害を防ぐために葉酸の摂取が推奨されている、というのはよく知られた話だ。
自閉症スペクトラム障害
私が驚いたのがこちらだ。
どの育児書や育児サイトでも見たことがないが、葉酸の摂取が子供の自閉症発症リスクを低減する可能性があると厚生労働省のサイトに記載されていたのだ。
厚生労働省のeJIMというサイトなのだが、そこにはこのような記述がある。
一部の観察研究から、妊娠前および/または妊娠期において母体の葉酸および/またはマルチビタミンサプリメントの摂取と出生児のASD発現リスクの低下には相関がみられることが示されている。
妊娠時の室内用殺虫剤の使用も自閉症リスクを高める?
さらに驚いたのがこの記載だ。
自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorder:ASD)の原因は明らかになっていないが、遺伝的因子および環境因子(感染症など)や、特定の薬物や汚染物質、殺虫剤への出生前曝露が一因であると考えられている。
サラッと記載してあるが、妊婦が殺虫剤を浴びると胎児の自閉症発症リスクを高めるということだ。
普通の殺虫剤を浴びることはまず無いが、室内用殺虫剤も含まれるという。
室内用殺虫剤とはどんなものか。
調べてみると、私が夏に欠かさず使っている「蚊のいなくなるスプレー」もピレスロイド系殺虫剤というれっきとした殺虫剤なのだそうだ。
神経管閉鎖障害のような目に見える障害が直ちに出ることはなくとも、見えない所で小さな胎児の体に影響を及ぼしてしまうということだろう。
室内用殺虫剤を浴びてしまった場合も葉酸でリスクを下げることができる
しかし厚生労働省のサイトには、殺虫剤を浴びてしまっても母親が葉酸を摂ることで胎児の自閉症リスクを下げることが出来ると書いてある。
小児712例を対象としたアメリカの研究では、母親が妊娠期に室内用殺虫剤へ曝露し、妊娠直後1カ月間に葉酸800µg/日以上摂取した場合、室内用殺虫剤への曝露歴がなく同量の葉酸を摂取した場合と比較して、出生児にASDが認められる可能性は1.7倍であった[46]。室内用殺虫剤への曝露歴を有し葉酸摂取量が800 µg/日未満であった場合も、ASD発現リスクは高かった(2.5倍)。これは、殺虫剤への曝露によるASD発現リスク上昇の可能性を葉酸が減弱させる可能性を示唆する。
少し分かりにくいが、つまり室内用殺虫剤を浴びてしまった場合、葉酸を1日に800マイクログラム摂っていれば自閉症の発症リスクを2.5倍→1.7倍へ下げることができる、ということだ。
参考:https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/05.html
自己判断で葉酸を摂るなら安心できるものを
以上より、まだ予定があるわけではないが仮に第二子を計画するなら妊娠前から葉酸を取ろうと思っている。
しかし前述の通り、私の手元にあるのは前回の妊娠時に処方された医療用の葉酸錠剤なので、自己判断で飲むのは少し憚られる。
もう少し気軽に飲めるマルチビタミン的なものを知りたく、現在妊娠12週の友人に今飲んでいるサプリを聞いてみた。
するとバイエル社のエレビットというマルチビタミンサプリを教えてくれた↓
調べてみるとイタリアでも結構メジャーなサプリのようで、最寄りの薬局でも簡単に購入することができるようだ。
そしてもう一つ気になっているのはサン・クロレラというサプリだ。
これは緑藻類のクロレラが原材料なので、人工葉酸ではなく食べ物由来の葉酸なのが特徴だ。
クロレラなので、薬というより青汁感覚で飲めるのが魅力だ。
人口葉酸は過剰摂取の恐れがあるので、できれば食べ物から摂取したいと考える私にはこのサプリが一番!
と思うものの、残念ながらイタリアでは入手できないようだ。
私のように人工的なサプリは苦手、という人には向いていると思う。(イタリアでも似たようなものが無いか目下探索中である)
↓サン・クロレラについて
https://sunchlorellashop.jp/interview/
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